松本市議会 > 2018-12-11 >
12月11日-03号

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  1. 松本市議会 2018-12-11
    12月11日-03号


    取得元: 松本市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-04
    平成30年 12月 定例会---------------------------------------          平成30年松本市議会12月定例会会議録                 第3号---------------------------------------             平成30年12月11日 (火曜日)---------------------------------------               議事日程(第3号)                    平成30年12月11日 午前10時開議 第1 市政一般に対する質問     ------------------------------出席議員(31名)      1番  今井ゆうすけ        2番  勝野智行      3番  青木 崇          5番  若林真一      6番  川久保文良         7番  吉村幸代      8番  井口司朗          9番  上條美智子     10番  田口輝子         11番  中島昌子     12番  村上幸雄         13番  上條 温     14番  小林あや         15番  上條俊道     16番  犬飼信雄         17番  小林弘明     18番  阿部功祐         19番  澤田佐久子     20番  宮坂郁生         21番  忠地義光     22番  芝山 稔         23番  犬飼明美     24番  柿澤 潔         25番  宮下正夫     26番  青木豊子         27番  近藤晴彦     28番  南山国彦         29番  草間錦也     30番  太田更三         31番  大久保真一     32番  池田国昭     ------------------------------説明のため出席した者  市長        菅谷 昭   副市長       坪田明男  総務部長      丸山貴史   政策部長      山内 亮  財政部長      高野一司   危機管理部長    嵯峨宏一  地域づくり部長   守屋千秋   文化スポーツ部長  寺沢和男  環境部長      土屋雄一   健康福祉部長    樋口 浩  こども部長     伊佐治裕子  農林部長      林 浩史  商工観光部長    小原直樹   健康産業・企業立地担当部長                             小林浩之  建設部長      小出光男   城下町整備本部長  百瀬雅仁  上下水道局長    征矢野伸一  病院局長      斉川久誉  教育長       赤羽郁夫   教育部長      矢久保 学  行政管理課長    中野嘉勝   行政管理課法制担当課長                             向井津富  秘書課長      羽田野雅司  政策課長      小西敏章     ------------------------------事務局職員出席者  事務局長      市川英治   事務局次長     逸見和行  議会担当係長    住吉真治   主査        金井真澄  主任        芦田真理   主任        永原浩希     ------------------------------               本日の会議に付した事件 議事日程(第3号)記載事件のとおり     ------------------------------                                午前10時開議 ○議長(上條俊道) おはようございます。 現在までの出席議員は31名でありますので、定足数を超えております。よって、直ちに本日の会議を開きます。 本日の議事は、日程第3号をもって進めます。     ------------------------------ △日程第1 市政一般に対する質問 ○議長(上條俊道) 日程第1 昨日に引き続き市政一般に対する質問を行います。 順次発言を許します。 最初に、11番 中島昌子議員の質問を行います。中島議員は質問者待機席へ移動してください。 11番 中島昌子議員。 ◆11番(中島昌子) 〔登壇〕 おはようございます。政友会の中島昌子です。 政友会を代表いたしまして、柿澤 潔議員とともに、通告に従いまして件名ごと一括にて質問いたします。 初めに、地域医療について伺います。 私は、平成30年6月定例会において、旧松本市国民健康保険会田病院が平成30年3月末をもって病床を廃止し、4月から松本市四賀の里クリニックへと名称変更し、診療所に移行した際、四賀の里クリニックに対する市長の思いについて伺いました。市長からは、地域全体で超高齢化社会を支えていく地域包括ケアシステムの推進に取り組むクリニックであること、地域の医療需要に見合った効果的な経営がなされるクリニックであること、さらに、地域住民に支持され、愛されるクリニックであり続けることの3つの視点が重要であるとのお答えをいただきました。また、四賀の里クリニックが命と健康を守る地域医療の拠点であり、健康寿命延伸都市・松本の創造の根幹をなす地域医療の充実したまちづくりと地域包括ケアシステムを進めていく観点からも四賀地区住民のよりどころとして支持され、愛され、将来にわたって持続可能なクリニックとなるよう、地域の皆様の声に耳を傾けながらよりよい運営に取り組んでいくとの力強いご答弁をいただき、安堵した気持ちになったことが思い出されます。 松本市が11月第2土曜日を「いい医療の日」と定めたことし11月17日、Mウイングにおいて「2018いい医療の日記念イベント 住み慣れた地域で暮らし続けるために今できることを考える」が開催されました。菅谷市長の開会挨拶に始まり、JA長野厚生連佐久総合病院地域医療部副部長、地域ケア科医長の小松裕和氏による基調講演の後、これからの在宅医療と市立病院・市立診療所をテーマにしたパネルディスカッションが行われました。松本市医師会の杉山 敦会長がコーディネーター、松本市立病院の高木院長、四賀の里クリニックの望月院長、奈川診療所の虎走所長、安曇地区診療所の高橋所長がパネリストとなり、各病院・診療所における取り組みや課題等について話されました。 それぞれの診療所には成り立ちの歴史があること、困ったときには来てくださいという安心感を持ってもらえるような診療ができていること、みとりの近い患者さんがいると遠くに出かけることはほとんどできないこと、後継者がいなくなってしまうことへの不安、医療チームを組むことができれば自分も楽になるなど、先生方のご苦労や医療に対する責任感、地域の方々に対する愛情を感じることができました。このようなすばらしい先生方やスタッフの方がいるからこそ、地域医療の現場が支えられているのだと改めて強く思ったところです。 さて、平成29年度の公営企業会計決算審査意見書では、旧松本市国民健康保険会田病院について非常に厳しい指摘がなされました。医業収益で職員の給与費が賄えていない危機的とも言える経営状況の中、費用抑制が求められているにもかかわらず、医薬品を主とした材料費率が年々増加している。異常値とも言える現状を目の当たりにし、このやり方が本来目指すべき地域医療なのか不安を感じる。院外処方を検討するなど根本的な経営方針を見直す必要があるのではないか。経営改善を実現するためには、診療所規模に見合った効果的な人員配置の見直しを行う。無料提供している患者の送迎について、有料化や廃止も含めた見直しを図るなど、今まで以上に効率的な経営を行うことが必要という内容のものでした。 旧松本市国民健康保険会田病院はことし4月、診療所へと縮小されたばかりですが、この審査意見を見ると経営状況が改善するまでさらに縮小を求められているようで、経営が改善しないと診療所もなくなるのではという不安に駆られました。確かに材料費を抑える等の健全経営は大変重要ですが、中心市街地から山を隔て、高齢化が進んでいる等の地域の特性や実情を踏まえて地域医療を考える必要があると考えます。 そこで、初めに、地域医療の本来目指すべき姿とは何か、市長のお考えを伺います。 続きまして、先ほど平成29年度公営企業会計決算審査意見書で旧松本市国民健康保険会田病院、現在の四賀の里クリニックについて、経営面等から見た審査意見があったと述べましたが、四賀の里クリニックの運営について、次の3点について伺います。 初めに、無料患者送迎車の有料化や廃止を含めた見直しについて伺います。 クリニックの特徴として、自分だけでは通院ができない患者の送迎を旧松本市国民健康保険会田病院から継続して行っています。ひとり暮らしや運転免許を持たない、また運転免許証を返納した高齢者、車椅子を使う高齢者の患者さんにとってはなくてはならない通院手段となっています。決算審査の意見では、患者送迎について、経営の効率化のために廃止を含め見直すよう指摘しています。タクシーが1台もない地区であり、バスもほとんど通らない山合いに点在する集落には今も多くの高齢者が住んでいます。このような地区の特性や実情を見たとき、簡単に見直すことができるのでしょうか。もし見直すのであれば代替案が必要となりますが、その検討がどうなっているのか、お聞きします。 続きまして、診療所の規模に見合った効果的な人員配置の見直しとの指摘内容について伺います。 地域医療で最も優先すべきことは診療所の規模に合った効果的な人員配置ではなく、地域を支えるために必要な医療体制なのではないかと考えます。そこで、四賀の里クリニックにおいて、医師を含めた医療体制は今後どうなっていくのかについて伺います。 次に、四賀地区での院外処方の可能性について伺います。 平成29年度決算特別委員会において川久保議員から院外処方についての質問があり、病院局からは四賀地区の保険薬局の可能性について松本薬剤師会に相談するとの答弁がありました。四賀地区に保険薬局ができれば便利になると思いますが、保険薬局開局の可能性はあるのか、以上の3点について伺います。 続きまして、地域包括ケアシステムにおける在宅療養支援について伺います。 ことし4月から四賀の里クリニックは病院から無床診療所へと移行しましたが、現在も地域の人口約4,500人の命を預かり、四賀地区の医療を支える大切な医療機関であることに変わりはありません。移行前は病床廃止に伴って当直医体制がなくなることによる夜間、休日の患者の急変への対応や特別養護老人ホーム四賀福寿荘の訪問診療、みとり対応への不安の声が地域住民や介護に携わる方々から数多く聞かれました。そのことにつきましては、11月17日のいい医療の日イベントで四賀の里クリニックの望月院長が、藤森病院と連携することで施設への訪問診療は院長と藤森病院の医師と分担して行い、軽症の入院等が依頼しやすくなったこと、また、医師の当直がなくなっても藤森病院の医師と信州大学医学部附属病院オンコール医師との分担でみとり対応が行われているとの説明がありました。 また、ことし6月定例会での私の一般質問に在宅医療提供療養支援体制の充実を図っていくとの答弁があり、実際に自宅で家族をみとった方の感謝の声も聞いているところですが、約5年ぶりに4月から再開した訪問看護の現状を含め、医療と介護の連携による在宅療養支援の実例について伺います。 以上で1回目の質問を終わります。 ○議長(上條俊道) 菅谷市長。 ◎市長(菅谷昭) 〔登壇〕 中島議員の、松本市の目指す地域医療についてのお尋ねにお答えいたします。 今日、超高齢社会における疾病構造の変化に伴い、治す医療から治し、支える医療への転換が求められている中、市内のどの地域においても必要な医療が切れ目なく提供される体制を確保することが求められております。 ご承知のとおり、松本市は病院、診療所、医師など医療資源に恵まれ、質・量ともに充実した医療サービスが提供されております。その一端を担う中山間地における市立診療所におきましても、地域住民の暮らしや健康を守るため適切な医療サービスの提供が必要と考えております。 ただ、その一方で、持続可能な医療提供体制を維持するため、地域医療を守りつつ、あわせて慢性的な赤字経営に陥らないよう適正な運営が求められることにつきましてもご理解をお願いする次第でございます。 以上でございます。 ○議長(上條俊道) 斉川病院局長。 ◎病院局長(斉川久誉) 〔登壇〕 四賀の里クリニックの運営についての幾つかのご質問に、順を追ってお答えいたします。 まず、通院患者の無料送迎車は、ただいま議員からご紹介がありましたとおり、四賀地区内にお住まいで車椅子を使用されていたり運転免許のない高齢者など、ひとりでの通院が困難な患者の無料送迎を約20年前から旧松本市国民健康保険会田病院で行ってきております。無料送迎に係る年間費用は人件費、燃料代等180万円程度になり、四賀の里クリニックの厳しい経営状況から、決算審査での指摘を受け、現在見直しの検討をしております。 有料化は、道路運送法などの法令を踏まえると実現性はありません。廃止につきましては、議員ご指摘のとおり代替案が必要です。アルピコ交通四賀線、市営バス四賀線、四賀地域バスなどの公共交通機関との連携や、福祉タクシーなど民間事業者の利用など代替案の研究を進めております。 次に、人員配置につきましては、現在の院長にかわる常勤院長をかねてから県の医師確保対策室などを通じて募集しておりましたところ応募があり、来年4月の着任に向け、慎重に調整を進めております。今後ますます増加する在宅医療に対応し、地域を支える医療体制を整えてまいりたいと考えております。 次に、院外処方につきましては、医薬分業と経営の効率化の観点から、松本薬剤師会に院外処方の可能性について相談をしております。保険薬局開局には、従業員3人を想定し、採算ベースで考えた場合、処方せん枚数が概算で月1,000枚程度必要とのことですが、四賀の里クリニックの処方せんは500枚程度であり現状では難しいこと、保険薬局の開業場所の選定も重要であることなど多くの課題があることを認識いたしました。院外処方は、現在の状況では非常に厳しくはありますが、松本薬剤師会などにご相談を重ね、保険薬局のない四賀地区のためにも実現を目指してさらに研究してまいります。 次に、地域包括ケアシステムにおける在宅療養支援についてのご質問にお答えします。 訪問看護は4月から再開し、現在11名の方が利用されております。関連する医療や介護の現場などが利用者の情報を共有し、統一した認識とケアにつながるように努めております。また、四賀の里クリニックに登録をしている在宅療養患者のご自宅でのみとりは4月から5件あり、そのうちクリニックの訪問看護を利用されている方は2件でありました。最期のときにご家族と利用者のかかわりに配慮したサポートや、大切な方を亡くしたご家族の心の痛みに寄り添い、利用者の尊厳を尊重して対応することに心がけております。 そのほか、地域包括ケアシステムの構成要素であります医療・介護・生活支援などが互いに連携しながら有機的な環境を構築するため、地元関係者や介護施設などにお声がけをして、四賀の里クリニックが主体で勉強会を行っております。 以上でございます。 ○議長(上條俊道) 中島昌子議員。 ◆11番(中島昌子) 〔登壇〕 市長から地域医療の本来目指すべき姿について、松本市の中山間地における診療所においても適切な医療サービスは必要とのお答えをいただきました。また、決算審査意見で指摘があった3点についても、それぞれにご答弁をいただきました。 無料患者送迎車については、無料送迎に係る年間費用は180万円程度となり、現在見直しの検討をしていること、有料化は法令を踏まえると実現性はないこと、廃止に伴って必要となる代替案は研究を進めているとのお答えでした。 旧松本市国民健康保険会田病院外来患者数は平成27年の望月院長の赴任とともに年々上昇し、収入も増加しています。医師やスタッフの努力あっての結果だとは思いますが、現在、外来患者の15%ぐらいの方が利用している無料送迎車の存在も大きく寄与しているものと思われます。しかし、送迎車のリフト装置が故障し、改修の予算がつかない状況であり、他の市立診療所では行っていないとの理由から送迎に係る人件費、燃料代等の予算の削減も検討されています。 今後は、現在車を運転して通院している人も高齢化や認知症などにより運転免許証を返納するという交通弱者が増加し、医療機関への交通のアクセスがますます課題となることは、奈川、安曇、どの地区においても言えることだと思います。年をとるほど医療依存度が高くなるので、身近なところに医療機関があることは絶対に必要ですが、そこに行く手段がないと医療は受けられません。望月院長は寝たきりの患者は外来に来るなと言うのと同じだと話されていました。送迎車のリフトが故障して修理代が150万円ほどかかり、しかも車両自体が老朽化し、直すのが困難であるなら、修理はせず、車椅子の患者さんが乗れる250万円ぐらいの軽車両1台で十分だと思います。 代替案の研究を進めているとのお答えでしたが、有効な代替案がないのであれば、今後ますます増加するであろう受診困難な交通弱者対策をぜひご検討いただきたいと強く要望しておきたいと思います。 次に、人員配置についてですが、新たな常勤院長の募集に応募があり、来年4月の着任に向けた調整を進めているとの回答をいただきました。現在の常勤医師1人体制で外来の診察と訪問診療や緊急の往診等の在宅医療への対応は困難な状況にあるとのことですので、より多くの外来患者の受け入れや在宅療養支援につながることから、医師2人体制になることを期待しています。今後も増加する在宅医療の拠点としての役割をしっかり果たしていってほしいと願っています。 最後に、院外処方については、松本薬剤師会に可能性について相談してきた、現在の状況では困難ではあるがさらに研究していくとのお答えをいただきました。やはりなという思いはしましたが、保険薬局が開局すれば市民生活が便利になることから、さらなる研究をしていただきたいと思います。 続きまして、地域包括ケアシステムにおける在宅療養支援の取り組みについてご答弁いただきました。 医療・介護の分野で連携を図るためクリニック全体で勉強会を行っているとのことですが、参加された介護施設の職員の方々にはとても好評で、皆さん真剣に学ばれていたとの話も伺っております。地域にかかわる課題を共有し、みんなで話し合うこともできる情報交換の場となることから、在宅療養支援につながるすばらしい取り組みであると思います。今後ともぜひ継続していってほしいと要望いたします。 また、4月から再開された訪問看護について、いい医療の日イベントにおいて望月院長から、高齢の在宅患者の安否確認や服薬管理など日常生活においてのサポートを含んだケアを行っているとの話がありました。今後も引き続き訪問看護師の育成など実施体制の充実を図っていく、また、みとりについては4月から5件あり、クリニックからの訪問看護利用者は2件あったとのことですが、クリニックからの訪問看護は、病状の変化があった場合にはすぐに緊急訪問し、主治医に連絡することで早期の対応が可能となります。 最期のとき、大切な方を亡くされたご家族に寄り添い、利用者の尊厳を尊重し対応することを心がけているとのお答えもいただきました。今後、自宅でのみとりはますますふえていくものと思われます。私も17年前、自宅で義父をみとりました。当時、私は専業主婦であったことと義母の存在があったことから1年ほどの介護ができたのだと思いますが、当時できたばかりの介護保険を利用して毎日訪問看護をお願いし、亡くなる前日も訪問入浴をしてもらいました。入院を嫌がった義父にとって、医師や看護師の方にも助けられ、自宅で最期を迎えられたことは幸せだったと思います。在宅療養における看護師の役割はとても重要です。看病におけるプロセスはもちろん、みとりのときまできめ細やかなケアで療養を支えてほしいと願っています。 それでは、2回目の質問に入ります。 高齢化が進み、老齢期の患者が中心となるこれからの時代、住みなれた地域で暮らし続けるために、先ほど市長がおっしゃいました、治す医療から治し、支える医療をどう提供していくのかについて、受診が困難な交通弱者の対策をどうするのか、地域を支える医療体制を考慮した人員配置とは、訪問看護・訪問診療など地域包括ケアシステムにおける在宅療養支援の体制整備をどう進めるかなど、地域医療の拠点となる四賀の里クリニックが抱えるさまざまな課題についてこれまで質問をしてきました。 これらは四賀、奈川、安曇地区の診療所はもとより松本市立病院においても共通した課題であり、これらの課題は病院局だけでなく予算や地域交通、地域づくり等、市全体の政策的な課題として捉える必要があると考えます。 西部地域の基幹病院である松本市立病院の経営が厳しい状況にあり、待ったなしの経営改革が求められています。市立病院の安定的な経営に向けては、病院局と市長部局との積極的な連携が今後ますます必要になってくると考えますが、市の見解を伺います。 ○議長(上條俊道) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 市立病院は安曇、奈川地区を初めとする西部地域の基幹病院として地域医療等に重要な役割を担っていると認識をしており、その役割を果たす上でも経営の健全化は大前提であります。市立病院の安定的な経営に向けましては、市長部局と病院局が連携し、公立病院を取り巻く状況を把握する中で、市立病院の抜本的な経営改革を支援するため、副市長を長とし、病院長、副院長、関係部局長で構成する松本市立病院運営会議を11月に設置いたしました。 今後は、その松本市立病院運営会議において病院経営に関する課題を共有するとともに、長期的な視点を踏まえた安定的な経営に向けて意見交換を行いつつ、必要に応じた支援等を検討してまいります。 以上です。 ○議長(上條俊道) 中島昌子議員。 ◆11番(中島昌子) 〔登壇〕 3回目は要望といたします。 市長部局と病院局が連携し、松本市立病院運営会議を11月に設置し、検討していくとのお答えをいただきました。今後の取り組みに期待したいと思います。 四賀の里クリニックの望月院長は、医療の崩壊は地域の崩壊につながる。他の診療所はしていないからという歳出削減にとらわれるのではなく、各診療所のよい取り組みをむしろ他の地域へ広げることが重要である、と話されています。地域包括ケアシステムには2本の柱があり、医療と介護の専門職が連携した在宅サービスを提供することが2本の柱のうちの1本であることは前回の6月定例会での私の一般質問で申し上げました。ですので、自治体病院として市立病院の果たす役割は、地域づくりの観点から支援していくことも重要であると考えます。 11月19日付の信濃毎日新聞に、信州大学の井上信宏教授の市全体を見据え、医療格差が生じないよう調整できるかが問われているとのコメントが掲載されていました。確かに健全経営は大切ですが、松本市立病院や四賀の里クリニックの採算面だけがひとり歩きしているように思われます。行政として、市民の命と健康を守るために最低限支援すべきことをきちんと考えてほしいと要望しておきたいと思います。 なお、市立大町総合病院は12月5日、経営改善を目指して職員や医師の基本給などの削減に踏み出すとの報道がありました。人件費の削減は職員のモチベーションの低下や優秀な人材の流出につながるおそれもあるということを、いい医療の日のイベントにおいて杉山松本市医師会長が指摘されていたことをつけ加えさせていただき、地域医療についての質問は終了といたします。 続きまして、介護者支援について伺います。 最初に、介護職として携わる方ではなく、家族の介護をする方の介護離職についてお聞きします。 人生には3つの坂があると言われています。上り坂、下り坂、そして「まさか」です。自分の親が突然認知症であることがわかった、転倒して大腿骨を骨折した、腰椎を圧迫骨折した、脳梗塞、心筋梗塞やがんになったなど不測の事態になったとき、こんなはずじゃなかった、まさか介護を理由に仕事から離れるなんてなど、40代、50代の働き盛りの人が受ける精神的ダメージは大きいと思われます。 11月8日、9日にMウイングで開催された第8回世界健康首都会議の中で、松本市医師会の医療・介護コーディネーターの岡村律子さんは、団塊世代が75歳以上となる2025年問題に象徴される少子高齢・多死社会が到来しつつあること、平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳、健康寿命は男性71.19歳、女性は74.21歳で、平均寿命と健康寿命との差は男性は9.02年、女性は12.4年となり、男女とも平均してこれだけの年数は医療・介護と無縁ではいられないこと、また治る見込みがない病気になったときどこで最期を迎えたいかという問いには自宅が54.6%で最も高く、病院などの医療施設が27.7%、特別養護老人ホームなどの福祉施設は4.5%となっていること、ところが、実際には病院で最期を迎える人が約8割、自宅で最期を迎える人は1割ちょっとしかいないとのお話をされました。 自宅で最期を迎えるためには在宅医療の推進は欠かせませんが、介護してくれる家族に負担がかかるなど、解決しなければならないさまざまな課題があります。在宅医療を必要とする人は2025年には29万人と推計され、約12万人ふえることが見込まれるとのことでした。 ことし7月14日付の読売新聞に「介護離職、働き盛り苦悩」という記事があり、介護で離職した人の約2割が40歳代、約4割が50歳代と働き世代であったことが掲載されていました。また、中高年が仕事をやめると再就職は厳しい現状もあるようです。 そこで、今や切実な社会問題とも言える介護離職の現状と、介護離職に対応するための支援について伺います。 ○議長(上條俊道) 小原商工観光部長。 ◎商工観光部長(小原直樹) 介護離職の現状と、介護離職に対応するための支援についてお答えをいたします。 初めに、介護離職の現状につきましては、本年7月に総務省が公表いたしました平成29年度就業構造基本調査によりますと、介護をしている方は全国で約628万人で、このうち仕事を持っている方は約346万人でございます。6割近い方が働きながら介護を行っております。その一方で、過去1年間に介護・看護のために離職した方は約9万9,000人で、全離職者のうち1.8%を占めております。 長野県について見てみますと、介護・看護のために離職をした方は2,500人で、全離職者のうち3.2%というふうになっております。これは全国平均の1.8%を上回っておりまして、都道府県別では2番目に高い数字となっております。平成24年の前回調査と比べましても1.7ポイント、1,100人増加をしているという状況でございます。また、6月に公表されました総務省の介護離職に関する意識等調査の結果によりますと、離職後再就職を希望して活動された方のうち、実際に再就職できた方は43.8%にとどまっております。 このように、介護のために一度離職をしてしまいますと再就職は困難な状況でございますし、そのほかにも収入の減少、また社会との接点が少なくなるなどさまざまなリスクが指摘をされております。このため、仕事をしながら介護をされている方が離職に至らないような取り組みが重要でございます。 そこで、松本市では、介護休業、介護休暇や介護休業給付金など、育児・介護休業法に規定をされております仕事と介護を両立させる制度の周知と活用を図るために各種セミナーなどを開催しております。また、地方創生推進交付金を活用いたしました仕事と家庭の両立支援事業では、社会保険労務士がセミナー参加企業を訪問して就業規則の改正のアドバイスなどを行っております。 雇用情勢は人手不足が懸念される状況でございます。介護を理由とした離職者が増加してしまいますと、企業にとっても大きな損失となってしまいます。企業には介護保険制度や自社の両立支援制度を積極的に社内で周知していただくとともに、相談をしやすく、制度を利用しやすい職場環境づくりに努めていただきますように引き続き普及活動に努めてまいります。 以上でございます。 ○議長(上條俊道) 中島昌子議員。 ◆11番(中島昌子) 〔登壇〕 それぞれにご答弁いただきました。 総務省の調査によると、全国の半数以上の人が働きながら介護を行っており、長野県で介護・看護のために離職した人は2,500人で前回の調査より1,100人増加していること、また、長野県の離職者は全国平均の1.8%を上回り、3.2%は全国で2番目に高いということがわかりました。また、離職後再就職を希望した方のうち再就職できた方は5割に満たない状況であり、再就職は困難であることが改めて示されました。 離職に至らない取り組みとして、市が企業に声がけして行うセミナー、フォーラムの開催や、社会保険労務士が企業を訪問して、企業の実情に合ったアドバイス等を行っていることがわかりました。このような取り組みはぜひ継続していってほしいと思います。 親や配偶者らに介護が必要になった場合、計93日を一括または3回まで分割して取得できる介護休業、また買い物や通院の付き添い、介護などを行うため年間5日まで取得できる介護休暇など介護に関する制度を知らず、うまく活用できないことが離職につながるとの指摘もされています。企業は事前に従業員に介護に関する社内外の相談窓口の情報を伝えておくことが重要であり、介護中の社員が上司に打ち明けやすい職場であって、上司と働き方についてよく話し合い、理解してもらい、介護離職という選択をしなくてもよい方法を考えることができる職場の環境づくりが大切であると考えます。 企業にとっても、介護に直面するのは主に管理職であり、その人たちがやめることは企業の人材不足にもつながることから、介護休業の取得回数や日数を国の制度より多く認めている大企業もあるようですが、長時間労働を減らしたり休暇がとりやすい業務内容にするなど、働き方改革の視点で中小企業へも波及するよう、さらなる企業への啓発に努めていただきたいと要望しておきたいと思います。 続きまして、介護者ケアについて伺います。 NHKの朝の番組で、厚生労働省のデータによると、介護が必要となってくる85歳から90歳までの高齢者はちょうど半分、介護は要らないまでも何らかの認知症の症状がある人は80代で半分くらいいる。今、平均寿命は女性が90歳くらいなので、介護が必要になるときはいずれ来る。年をとるということは介護が必要になる、認知症になるということ。その上でどう暮らしを立てていくか、子供も親も考えなくてはいけないという内容の放送がされていました。 介護が必要となる年齢は人によって異なりますが、高齢化に伴い介護を必要とする高齢者は年々増加傾向にあり、親や家族の介護をする人の数もふえてきます。本人の意向や財政的な理由で在宅介護を選択した場合、介護をする人は配偶者か子供ということになりますが、配偶者も高齢だったりすると子供が介護を担う場合も少なくありません。兄弟がいなくて一人っ子という人が、最初は自分以外にはいないと張り切って親の介護をし始めたものの、全部一人でやっていると抱えているものが余りにも多過ぎて、身も心も疲れ果てて鬱状態になったとの話がNHKで放送されていました。 介護は何年かかるか、いつ終わるかはわかりません。介護によるストレスや、自分の家族は自分で見なくてはという強い責任感などが原因で介護鬱の状態に陥るケースも多いと聞きます。さらに、最近では介護に疲れて介護を放棄したり、家族である被介護者を殺してしまうという事件に発展することも珍しくありません。家族全員で心中を図るというケースもあり、介護疲れは最悪の結果を招くおそれもあります。介護には休みがないため外出する機会が減って、いつの間にか社会的に孤立していたり、一人で悩みを抱え込んでしまうことも多いと思われます。 そこで、介護者の社会的孤立やそれに伴う介護鬱を防ぐ手だてとして、介護者への支援や交流の場、相談体制をどのように行っているのか、またその周知方法について伺います。 ○議長(上條俊道) 樋口健康福祉部長
    健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 介護者への支援といたしましては、ケアマネジャーが本人及び介護者の状況により介護保険サービスの調整を行うことに加え、介護者の休息の機会となる夜間預かりのナイトケアの費用助成、認知症で行方不明になった方を早期発見するための徘回探知機の貸与、家庭介護用品の支給及び高齢者介護手当の支給など、介護者の負担の軽減と経済的な支援を行っております。 次に、介護者の孤立を防ぐための交流の場としては、認知症の方とその家族、地域住民が集う認知症カフェや認知症家族会、介護の集いなどが地域で取り組まれております。また、地域包括ケアシステム・松本モデルの一つとして、地域における見守り体制を推進するため、介護者や地域の関係者、専門職による個別地域ケア会議が各地区で開催されており、今年度も11月末までに17地区で31回開催しております。 また、介護者への相談体制といたしましては、市ケースワーカー及び市内12カ所の地域包括支援センター職員による家庭訪問、地区や町会へ出向いての介護相談会や物忘れ相談会などを実施しており、これらの相談会は今年度9月末までに59回開催しております。 そして、相談窓口の周知方法につきましては、民生委員など地区組織を通じた周知や定期的な広報への掲載、回覧に加え関係団体へ働きかけなどを行っており、今後も積極的に実施してまいります。 以上です。 ○議長(上條俊道) 中島昌子議員。 ◆11番(中島昌子) 〔登壇〕 それぞれにご答弁いただきました。 3回目は要望といたします。 介護者への支援として、介護者の休息の機会としてナイトケアの費用助成など介護者の負担軽減や財政的支援が行われていること、また、認知症カフェや個別地域ケア会議の開催、市のケースワーカーや地域包括支援センター職員による家庭訪問や各種相談会などが実施されていることがわかりました。 家族会、介護者の集いに出かけていって、同じ悩みを抱えている人同士話をすることも大切だと考えます。私自身、月1回の認知症家族の会に出席して体験談を聞いたり、介護の大変さを理解し合える仲間の人たちから元気をもらったことを思い出します。介護者が倒れてしまって共倒れの状況とならないよう、引き続ききめ細やかな取り組みをしていただきたいと思います。 改めて思うことは、人はいつ死ぬかわからないけれども、自分の人生を決めることはできるということです。第8回世界健康首都会議での講演「最期まで自分らしく生きる高齢社会の医療とあなたの生き方~リビングウィルを考える~」でも、リビングウィル--事前指示書のことですが--の重要性が言われていました。また、アドバンスケアプランニング(ACP)とは、自分の人生の最終段階の医療・療養について、意思に沿った医療・療養を受けるために家族や関係者とあらかじめ話し合い、また繰り返し話し合うことをいいます。人は「まさか」という人生があることになかなか気がつきません。アドバンスケアプランニングを通して、早いうちからいかに最期まで生き抜くか、本人の意思の確認をしておくことが最も大切であると感じました。 以上で、介護者支援についての質問は終了といたします。 続きまして、森林の多面的利活用の推進について伺います。 最初に、長野県森林づくり県民税の活用状況について質問いたします。 一般的に森林税と呼ばれている正式な名称が長野県森林づくり県民税であること、これからは森林税と略させていただきますが、その森林税のキャラクターが里やんと山ちゃんであることを知っている人は余りいないと思います。2人は信州の里山に生息しているため里山の状況に詳しいが、年齢・国籍・性別等は一切不明。里やんはボケ担当のうっかり者でずばずば物を言う、山ちゃんは突っ込み担当のしっかり者で物知りらしいとの設定だそうです。どう見ても余りかわいいとは言えないキャラクターですが、着ぐるみを着ている姿があれば見てみたいと思ったところです。 森林税の仕組みは、個人県民税及び法人県民税の均等割の超過(上乗せ)方式により、県内に住所、家屋敷または事務所等を有する約109万人の人が個人の納税義務者となり、年間500円を平成30年度から平成34年度まで納めることとなっています。個人の納税義務者は県民全員ではなく県民税均等割を納めている方、県民の約半数が対象であり、非課税となる方や控除対象の配偶者や扶養親族になっている方は課税されません。本年度の税収規模は個人が約5.5億円、法人は約1.2億円となっているようです。 そもそもなぜ森林税が必要なのか、森林税のパンフレットを見ますと、森林は木材等の林産物の供給だけでなく、土砂災害や洪水を防ぎ、清らかな水や空気を育むなど、私たちの暮らしに欠くことのできないたくさんの恵みをもたらしてくれます。これを金額に換算すると、私たち1人当たり年間140万円もの恩恵を受けていると試算されます。ところが、間伐等の森林整備を適切に行っていないと、それらの恵みを十分に享受することはできません。また、過疎化や森林所有者の山離れ等により森林と人とのつながりが希薄になりつつある中で、持続的な森林管理が困難になることが懸念されます--中略します--そこで、長年にわたって先人たちが大切に育ててきた森林を健全な形で次世代に引き継ぎ、森林の恵みを受けている私たち県民みんなで森林づくりを支え合う仕組みとして、森林税が導入されましたとありました。 私もその趣旨には賛同するものであり、森林の多面的活用の推進には森林税の活用が重要であると考えています。一方、新聞報道等によりますと、森林税は平成29年度末で5億2,000万円余が活用されていないということも聞いております。 そこで、松本市における第2期森林税(平成25年度から29年度)の活用状況について伺います。また、本年度から第3期となったわけですが、第3期(平成30年度から34年度)の今後の活用予定について伺います。 ○議長(上條俊道) 林農林部長。 ◎農林部長(林浩史) お答えします。 第2期の実績でございますが、まず、森林組合などの林業事業体が5,932万円を活用し、393ヘクタールの間伐などを行いました。また、市が実施する事業としましては3,346万円を松くい虫被害木の伐倒駆除などで活用し、市全体では合わせて9,278万円を活用しております。 本年度からの第3期におきましても、第2期同様の事業への活用を各林業事業体並びに市で検討しておりますとともに、地域の課題や実情に即した里山整備への活用も、県並びに各地域などと調整を進めてまいります。 以上でございます。 ○議長(上條俊道) 中島昌子議員。 ◆11番(中島昌子) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 森林税は、各林業事業体等が県から補助を受けて実施する事業と市が実施する事業の2種類の事業があり、今までの活用状況は、第2期の5カ年で9,300万円ほどが松本市内で使用されていることがわかりました。松くい虫被害木の伐倒駆除にも活用されているとのことで、私の思っていたよりも多くの金額が使われているという印象を受けたところです。 また、本年度からスタートした第3期の森林税は、県民のニーズに応えるため、地域の課題や実情に即した内容で活用される予定であることを伺いました。松くい虫被害が急速に全市に広がりつつあり、市内至るところで目にする、枯れてしまった松の木は、私たち市民の気持ちを暗くさせてしまいます。いずれ松本市の豊かな森林と言えなくなってしまうのではないかという不安に駆られます。 今後、松本市の森林を維持・増進していくためには、森林税の各種事業を取り入れ、県と協力して地域の課題や実情に即した森林整備の実施と推進をしていただきたいと強く要望いたします。 また、森林税の使途や事業内容、事業実績等についても、県と協力してもっとPRしたらどうかと思います。先ほど述べた里やんと山ちゃんのキャラクターを使うなりして県民の理解を深めることにより、さらに多くの事業の展開が期待できるのではないでしょうか。特に、豊かな森林資源を活用した観光地の魅力向上を図るという森林税の活用目的に沿うような森林税の活用を本市としても積極的に検討していただきたいと思います。 続きまして、ライフライン沿線の対策について伺います。 近年は大型台風や局所的豪雨等により、全国各地で被害が発生しています。市面積の80%が森林である松本市においては、カラマツ、アカマツ林等を適正に維持管理していくことが防災・減災につながると考えます。 ライフライン沿線では、台風などの強風により倒木等が発生し、道路の通行どめや停電など市民生活に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。特に、本州に9月から10月に最接近した台風21号と24号で発生した倒木による電線の切断で他県や県内では広い範囲で大規模な停電が相次いで発生、長期化し、電力会社の復旧が難航したことが新聞等で報道されました。中部電力管内では、ことし愛知県、静岡県などで大規模停電が発生し、台風21号で85万戸、24号では119万戸が停電し、全面復旧までに台風21号で6日、24号で5日かかった、県内では台風21号で4万3,850戸、24号では3万2,490戸が停電したとの報道がありました。 松本市内でも各地で停電が発生し、四、五時間停電した地区は多数あったと聞いています。また、放置され、荒れた森林は土砂災害が起きる危険性もふえます。台風や豪雨が相次ぐ中、荒れた森林は被害拡大の要因として無視できない存在となっており、本市としても対策に力を入れる必要があると考えます。 そこで、防災・減災の観点から、ライフライン沿線の本市の対策状況について、電力会社との連携強化も含め伺います。 以上で2回目の質問を終わります。 ○議長(上條俊道) 林農林部長。 ◎農林部長(林浩史) お答えします。 本市で危惧される倒木の最も大きな要因は、松くい虫被害による枯損であります。特にライフライン沿線の被害木は台風などの強風によって倒れ、市民生活に影響を与えることが危惧されています。 そこで、市が所有する森林につきましては、ライフライン沿線の被害木の伐採を進めております。私有林などにおきましても、被害が大きな地域では松くい虫被害対策協議会と実施箇所を協議し、国庫補助事業を活用して被害木の伐採に取り組んでおります。本年度は、梓川、里山辺、四賀、本郷、中山地区で実施します。さらに、保安林に指定されている森林では、ライフライン対策も含め県の治山事業の実施を要望しており、本年度は四賀反町地区で実施される予定であります。 議員ご指摘の倒木停電対策としましては、これらの対策以外に、電力会社が主体となって検討するものとして倒木により電線に触れるおそれのある木の予防的伐採がありますが、森林所有者を特定し同意を得ることが必要なことなど課題が多いのが現状であります。本市としましては、電力会社、森林所有者と協力し、研究してまいります。 以上でございます。 ○議長(上條俊道) 中島昌子議員。 ◆11番(中島昌子) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 3回目は要望といたします。 ライフライン対策では、市の市有林や個人の私有林などの伐採を計画的に実施していることをお聞きして、少し安堵いたしました。また、公益的機能が低下している保安林についても、引き続き県とも連携を図り、機能の増進を図っていくために、県・国事業等の積極的な導入を要望いたします。 11月27日付の信濃毎日新聞によりますと、電力会社が停電を引き起こす可能性がある樹木の計画伐採を広げるため、自治体との協議を進める改善策を発表したとありました。中山間地が多い県内、とりわけ松本市内で実際に伐採を進めライフラインを守っていくには、地権者の同意などが課題となります。倒木や土砂崩れなどで入るのが難しい場所となりそうなところは、早急な対策が必要です。 中部電力株式会社の勝野社長は、2014年の雪害を受けて計画伐採を実施した岐阜県高山市などでは、ことし9月から10月にかけて通過した台風21号、24号でも倒木による断線はほとんど起きていない。計画伐採に一定程度の効果があると認識しており、自治体を含む地域と事前協議ができたらいいと話されています。このように、防災・減災の観点から、電線付近の立木の事前伐採も必要と考えるため、電力会社との協力体制づくりも含め研究していただきたいと、今回は要望にとどめておきたいと思います。 また、諏訪地方では、停電を引き起こした倒木は戦後に植えられた人工林、カラマツ林で多発したという事例があることから、適正な森林管理が求められています。松本市においても、木材価格の低迷などにより、伐期を迎えたカラマツの利用は今も十分に進んでいないのが現状です。山の所有者が代がわりし、相続した子供が未登記のまま放置されてしまっている森林は少なくないと思われます。我が家もそうですが、山に詳しいお年寄りの方々が次々と亡くなってしまうと、山のはっきりした境界線がわからず、所有者の特定は今後ますます困難になることが予想されます。国でも新たな制度を検討しているようですが、停電の長期化は毎日の暮らしをほぼ電化製品に頼っている私たちの生活のみならず、医療機関、商店、学校、工場などの産業分野にも大きな影響を及ぼすことから、県・国と連携した取り組みを進めていただきたいと思います。 10月の日曜日、四賀板場地区の町会長や町会役員数名の方に台風24号による倒木の被害状況を見に来てほしいと言われ、両角県議会議員とともに板場地区の山林に入って現場の視察をいたしました。強風のために倒れた私と同じぐらいの大木は何カ所も林道を塞ぎ、有害鳥獣の防護柵は長い区間にわたってなぎ倒され、また、地滑りの心配もあるとの話を伺ってきました。地滑りに関しては、県の松本地域振興局農地整備課が今年度調査を実施し、必要な対策を行う予定であるとお聞きしました。また、反町地区では治山事業が実施の予定というお答えをいただきました。しかし、実際に山に入って、山全体が松くい虫被害による枯損木で覆われ、見るも無残な森林の姿を目の当たりにすると胸が塞がれる思いがし、何か対策はできないものかと頭を抱えました。 平成28年9月定例会で私は、福島県からのまつもと子ども留学の子供たちが阿智村へキャンプに行って夜空を眺めたとき、四賀地区の星空のほうがきれいだよと言われ、連れて行った大人の方はがっかりされたという話をしました。会田地区の斎田原というところから入ると、山の頂上に2メートルの幅はあるなだらかな林道が反町地区まで続いています。以前は山の整備がされ、西側は北アルプス、反対側は虚空蔵山などの360度のパノラマが開け、展望がよかったと聞いています。今でも2メートルの幅がある道路は、重機で平らにすれば簡単に4メートルの道路になると思われます。 舗装はしなくても山を整備しながら、県の事業を行って地滑り対策をし、松くい虫の枯損木を伐採し、トレッキングやトレイルラン、ウオーキングやサイクリングなどのコースとすることで、健康寿命延伸都市・松本の施策となり、生きがいの仕組みづくりへとつながる。また、星空観察会などの実施は地元資源の活用となり、景観もよくなり、新たな観光客の誘致へとつながると、こんなにうまくいくかどうかはわかりませんが、山の再生など事前の対策をすることで防災・減災や健康づくり、地球温暖化防止や観光にまで結びつけることのできるすばらしい取り組みとなることは間違いありません。 以前、新聞記事で、白馬村の宿泊業者でつくる団体と県が行った講演会で、イギリス出身の講演者の方が、日本は観光立国として必要な自然・気候・文化・食事の4条件を満たすとし、中でも自然こそが日本の最大の強み、外国人観光客にとってスキーや自転車観光といった自然体験を伴う観光は文化財をめぐる観光よりも長期滞在となり、多くのお金を使ってもらえると述べたことが書かれていました。森林資源を活用した松本市の新たな観光地としての魅力向上のため、このような案にも県の森林税の活用を積極的に検討していただきたいと思います。 樹木墓地のように何回も言い続けることで実現につながる提案となることを期待いたしまして、私の質問の全てを終了といたします。ありがとうございました。 ○議長(上條俊道) 以上で中島昌子議員の質問は終結いたします。中島昌子議員は自席へお戻りください。 次に、24番 柿澤 潔議員の質問を行います。柿澤議員は質問者待機席へ移動してください。 24番 柿澤 潔議員。 ◆24番(柿澤潔) 〔登壇〕 発言の機会をいただきましたので、政友会を代表いたしまして、中島昌子議員に続いて質問をさせていただきます。件名ごと一括で、私見を交えながら質問いたしますので、よろしくお願いいたします。 最初に、私からもお祝いを申し上げます。松本山雅FCのJ2優勝、本当におめでとうございます。ぜひJ1に残留を続けていただいて、松本のまち、またこの周辺の市町村の活性化にぜひ寄与してほしいなというふうに願っているところでございます。 これからの松本市の防災についてお伺いいたします。 平成30年ももうあとわずかとなりました。ことしを振り返ってみますと、まさに災害の年であったなというふうに思うわけであります。1月22日には東京都でも23センチメートルも積雪があったということで大混乱をして、また同日、新潟県と東北地方では5名の犠牲者が出ております。翌日の23日には草津白根山の火山活動で自衛隊員が殉職をされ、またロープウエーがとまって81名が下山できないという、こんな事態が発生をしております。3月には大分県中津市の土砂災害におきまして住宅4棟が流されて、6名の犠牲者が発生しております。 7月にはご存じのように豪雨及び台風12号の影響で、広島県、岡山県を中心に甚大な豪雨災害が発生をいたしました。224名の犠牲者、そして重軽傷者が456名、家屋の全半壊が1万7,636棟という記録になっております。8月には群馬県で防災ヘリコプターが墜落をいたしまして9名の搭乗者が殉職、9月には北海道胆振東部地震、これも41名の犠牲者を出しております。重軽傷者749名、家屋の全半壊1,761棟という、こんな記録になっております。10月には台風24号で、滋賀県、鳥取県などで4名の犠牲者が発生し、台風25号では重軽傷者31名が報告をされております。犠牲となられた方々のご冥福を祈らずにはおられません。 松本市においても猛暑による果樹などの農業に大きな影響がありまして、ブドウなどは水分不足で出荷できないものが出て、また、後に降った雨で玉割れが発生して出荷する量が減少するという、こんな事態になりました。このことはほかの作物でも同じ状況であるわけでありますし、稲刈りの時期やソバの収穫時期に大変影響がありました。 このように、松本市でも地震の危険性が叫ばれておりますし、天候のことですからどうしようもありませんが、毎年が異常気象であり、何があるかわかりません。本当に松本市でも大規模な豪雨災害が発生する、そんな可能性もあるわけでございまして、そんな中にありまして、それでも少しでも被害を抑える努力をしていかなければならないわけであります。 来年度から、より一層防災に力を入れていただきたい、そして安全な松本市の構築をお願いしたいなというふうに思っているところであります。市長の心強い見解をお伺いして、1回目の質問といたします。 ○議長(上條俊道) 菅谷市長。 ◎市長(菅谷昭) 〔登壇〕 柿澤議員の、これからの松本市の防災に関するお尋ねにお答えいたします。 私は市長就任以来、命の質や人生の質を高める、量から質への転換を基本理念に掲げ、命を大切にするまちづくりに邁進してまいりました。この命をキーワードに取り組んでまいりました施策の柱の一つが危機管理でございます。まさにこの危機管理こそが突然の死から命を守る取り組みであると捉え、国内被災地の調査や災害の教訓を踏まえてさまざまな施策、事業を進めておるところでございます。 その施策を進めるに当たり、松本市の防災の根幹としているものが松本市国土強靭化地域計画でございます。この計画は、松本市が全国に先駆け平成27年度に策定し、その基本目標としては、いかなる災害が発生しようとも人命の保護を最大限に図ること、地域の重要な機能が致命的な障害を受けずに維持されること、市民の財産及び公共施設に係る被害の最小化を図ること、迅速な復旧・復興を図ることの4点を掲げております。この目標を目指すべき姿として、市民の皆様とともに今日まで防災・減災対策に取り組んでまいりました。 主な取り組みといたしましては、市公共施設の耐震化、自主防災組織の活性化支援、小・中学生を対象とした防災学習、災害時の医療救護活動の連携体制の強化、焼岳、乗鞍岳の火山防災対策、地区住民の皆様との連携による避難所運営委員会の設置、災害時支援物資集積拠点の建設、小・中学校への備蓄倉庫の整備などが挙げられます。 松本市は急峻な山岳地に囲まれ、多くの河川により形成された複合扇状地という地理的特性から、温泉や風光明媚な景勝地などの恵みを受けております。その反面、土砂災害や河川の氾濫、一たび噴火すれば大きな災害をもたらすおそれのある焼岳や乗鞍岳、さらには30年以内の地震発生確率が全国1位である糸魚川-静岡構造線断層帯などの災害リスクを抱えております。また、国内に目を向けますと、ことしも地震災害、豪雨、豪雪、火山噴火などによる甚大な被害が各地で発生しました。 寺田寅彦は「災害は忘れたころにやってくる」と言いましたが、近年は災害は忘れないうちにやってくると感じております。さまざまな近年の災害を教訓として、松本市におきましても災害は必ず発生するということを前提に、一人一人の命を災害から守ることを最優先に、今後も引き続き防災対策に全力で取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(上條俊道) 柿澤 潔議員。 ◆24番(柿澤潔) 〔登壇〕 ありがとうございました。 答弁でもいただいたとおり、災害が必ず来るというふうに思っていなければいけないわけであります。私たち市民としても一人一人が意識しなければいけないことがたくさんありますし、行政の努力も必要であるというふうに思います。今後も引き続き全力で防災対策に努めるということであります。どうかよろしくお願いをいたします。災害は本当に防ぐことができませんので、命を守る取り組み、このことに大きな期待をしたいというふうに思います。 次の質問に移ります。 災害情報の発信についてであります。 9月4日、台風21号が通過をいたしまして、強風によって長野県護国神社にある鳥居が倒れたと、こんなニュースがありましたが、同時に市内各所で停電が発生をいたしました。遠い昔は雨、風、雷というとすぐ停電が起きたんですが、近年は停電ということは余り発生をしておりませんので備えが十分でないご家庭もあったかもしれません。夕方5時ごろからの停電で、すぐに解消した地域もあればなかなか復旧せず、たまたま私の住む地域では夜10時半ぐらいまで電気が来なかったという、こんな状態でありました。同じ地域で、外を眺めてみますと電気の来ているお家があったり、これは電線の系統のせいかなというふうに思います。また、緊急車両がどんどん飛び交ってはおりましたが、どこで何があったのかは全くわからない状態でありました。 折しも夕食の用意をする、そんな時間帯でありますので、お家での食事に困った方もあるかなというふうに思いますが、幸いコンビニエンスストアがあったり、また停電も地域限定というふうなこともあってこのことに余り苦情は聞かれませんでしたが、中部電力株式会社の発表がどのようになっているのか、わかりましたらお伺いしたい思います。かなりな停電の戸数ではないかなというふうに感じております。 この停電の情報は、電力会社が発表したものしか知ることができないような状況なのか。短時間で復旧するというふうなときにはさほど影響はないんですが、少し時間が長くなると市民生活や経済活動にも大きな影響が出ます。今回のような停電の情報を、松本市としてはどの程度の把握をしていたのか、お伺いをいたします。 ○議長(上條俊道) 嵯峨危機管理部長。 ◎危機管理部長(嵯峨宏一) 停電情報の把握状況についてお答えいたします。 9月4日に発生しました台風21号の停電に関する情報につきましては、中部電力株式会社のホームページの停電情報を私どもの危機管理部職員が随時閲覧し、停電の発生地区、停電の戸数について状況を把握しておりました。 なお、停電のピークは4日の19時38分現在で、浅間温泉、里山辺、惣社、元町、埋橋、筑摩など約5,300戸でございました。 以上でございます。 ○議長(上條俊道) 24番 柿澤 潔議員。 ◆24番(柿澤潔) 〔登壇〕 中部電力株式会社のホームページから発生地区と戸数を把握していたということでありまして、浅間温泉から筑摩にかけて約5,300戸ということでありました。 停電の情報が把握できていたなら、市民に伝えていかなければいけないんじゃないかなというふうに私は思ったところであります。確かに数分で復旧したところもありますが、1時間を超えると、このような予想がされる部分においては、該当エリアの市民に何らかの形で伝えてほしいなということを思ったところであります。電気、水道は生活に欠かせないものでありますし、断水した、停電したとなると一番関心を持つことは、一体いつになれば復旧するのかということが市民にとって何より知りたいことではないかなというふうに思います。 そして、停電をしますと情報取得手段が限られてきてしまいますので、断水と停電、こういったことは災害だという認識でいるのかどうか、また、これは災害ではないんだよという、そういうふうな認識なのか、確認をしておきたいなというふうに思います。 そして、知らせるという行為は、上下水道局や電力会社の広報だけでいいのかと。行政としての役割というものは発生しないのかどうか、お伺いをいたします。 続いて、防災メール、安心ネットの活用ということでお伺いをいたしますが、松本市では松本安心ネットによって情報発信をしておりますので、以後、松本安心ネットに限って質問をさせていただきます。 現在、松本安心ネットの登録者数はどのくらいになっているのか、そして、その登録者は増加傾向にあるのかどうかお伺いいたします。 岐阜県関市では、9月の豪雨災害を受けて河川に簡易水位計を設置したそうであります。順次その数をふやしていくという、そんな計画なようでありますが、その水位計の情報を登録した方の携帯電話から見ることができて、避難の自主判断につなげてほしいとしております。こういったメール配信の使い方は、非常に上手に使っているなと、いい例だなというふうに思っております。 松本市の地形は、全般に傾斜があるために、降った雨は流れの速さを増しながらも奈良井川に向かって流れていくわけであります。急傾斜地では、水路の水量というより積算雨量のほうが避難ということを考えるときには参考になる、そんな地域が多いんじゃないかなというふうに思います。河川の水位やこれまでの積算雨量などが数字で示されても、なかなか市民は危険度の判断はしづらいというふうに思いますので、危険性の度合いがどの程度なのか、市内の北部地域、南部地域、そして東部地域、西部地域というくらいの分類をした中で知ることができたらまた安全につながっていくんじゃないかな、このように思っているところであります。 この松本市においても、県で計測している田川、薄川、女鳥羽川や奈良井川の水位計や降水量のデータを確認して仮設ポンプの稼働や水防活動を開始するということを聞いているところであります。豪雨時においては、現地で目視をするということは大変危険なことでありますので、河川の状況がメールで配信されれば住民の自主判断を促すという、そういったところにもつながっていくんじゃないかなというふうに思います。重要なことは、情報の発信をどうするかということではないでしょうか。 これまでに松本安心ネットでは火災、行方不明者、そして不審者、イノシシや熊の目撃、そして4月には暴風警報が発令をされ、シェイクアウトの訓練の情報もこれまでに発信をされております。停電時にはテレビやラジオというものは大変難しくて、パソコンを開いて情報をとるということよりも、常にポケットにある携帯電話やスマートフォンに情報が入ってくる、それでスマートフォンや携帯電話で情報を受け取ることができたなら効果的ではないかなというふうに思うわけであります。 何がどうなったか少しでもわかればまた安心感にもつながるわけでありまして、この松本安心ネットへの登録を大いに促していただき、その数をふやしていってほしいなと思います。また、長時間の停電、断水、河川の水位の状況、消防団の出動状況、通行不能な場所などの情報をぜひお知らせとして、この松本安心ネットを活用して市民に発信してほしいなというふうに思います。このことが可能かどうか、お伺いをいたします。 ○議長(上條俊道) 嵯峨危機管理部長。 ◎危機管理部長(嵯峨宏一) 初めに、断水や停電に関する災害の認識と行政の役割についてお答えいたします。 災害対策基本法では、災害とは暴風、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、地震、噴火、その他の異常な自然現象または大規模な火事や爆発などによって及ぼす被害の程度により生ずる被害をいうと定義されております。被害の程度とは、身体または財産に相当の被害が生ずるような場合や現象を意味しております。このことから、断水や停電につきましても、被害の程度によっては災害に相当するものと考えております。したがいまして、断水や停電が災害に当たる場合には、市の役割として住民への情報提供や周知を行うこととなります。 なお、断水につきましては、水道を管理する市の責任において速やかに応急対応と復旧見込みについて周知してまいります。 また、停電につきましては、事業者である中部電力株式会社から復旧見込み等の情報提供があれば、市が持つ広報手段を活用して役割を果たしてまいりたいと考えております。 次に、松本安心ネットの登録状況についてお答えいたします。 松本安心ネットの登録者数は、11月現在で約8,800人でございます。また、登録者数の推移は、平成29年4月現在の約7,500人から1年半で1,300人ふえており、増加傾向にございます。 次に、松本安心ネットによる情報の発信についてお答えいたします。 災害に当たる場合の停電、断水、河川の水位、消防団の出動、通行不能な道路等の情報については、松本安心ネットの緊急情報として発信することは可能です。このうち断水、消防団の出動、通行不能な道路の情報は、具体的な情報を随時発信することができます。しかし、停電や河川の水位の情報は、刻々と状況が変わることから常に正確な情報を発信することが困難です。したがいまして、リアルタイムで情報を提供しているホームページに容易に接続できるように配慮してまいります。 なお、参考までに、停電中のエリアに関する情報は中部電力株式会社のホームページをご案内いたしますが、残念ながらまだ復旧見込みについては掲載されていないのが現状です。また、河川の水位の情報は、長野県河川砂防情報ステーションをご案内してまいります。 以上でございます。 ○議長(上條俊道) 柿澤 潔議員。 ◆24番(柿澤潔) 〔登壇〕 ありがとうございました。 規定に基づいて災害かどうかの判断をし、住民への情報提供や周知を行うということであります。できるだけのものを情報提供していってほしいなと思いますし、細かいことは電力会社のホームページを見ろ、というようなことではなくて、きっと知りたいだろうから見てお知らせしますというくらいの手厚い対応がもしできたらありがたいなというふうに思っているところであります。 松本安心ネットの登録者数、現在8,800名ということでありますが、ぜひふやしていただいて、市の情報提供を受け取る一番の窓口になるようにお願いをしたいなというふうに思います。 断水、河川の水位、消防団の出動、通行不能な道路は情報発信が可能ということであります。しかし、河川の水位や停電の状況などは、刻々と状況が変わるのでなかなか正確な情報発信は難しいということでありますが、ぜひ、どうしなさいという、要するに避難指示を出すような中身でなければ、多少、数字の正確さに欠けるにしても、どんな状況かということがわかると受け取る側は大変ありがたいんではないかなというふうに思いますので、できるだけ情報を流すという、そんな姿勢でこれからこの松本安心ネットを十分活用していただきたいなというふうにお願いを申し上げます。 続いて、宿泊税についてお伺いをいたします。 この税制をどのように捉えるかということで、本年2月定例会におきまして入湯税の使い道と温泉街の活性化について質問いたしました。対応を検討していただいて、またそれを実施していただいておりまして、本当に感謝を申し上げる次第でございます。 そのような中、先ごろふとしたことから北國新聞の記事を目にしまして、これには「金沢市、来年より宿泊税導入」という見出しでありました。この新聞記事の内容は、金沢市宿泊税30の活用案として持続可能な観光振興を図るという、こんな内容であります。 まちの個性に磨きをかける取り組みとして河川の景観整備、金沢らしい町並み整備、文化・スポーツツーリズム、金沢食文化継承料理人の育成などが挙げられまして、続いて、観光客の受け入れ態勢の充実として町なか交通ガイド多言語化、案内看板、Wi-Fiのエリア拡大、食物アレルギーへの対応、伝統文化・伝統芸能の披露への支援などが挙げられております。市民生活と調和した持続可能な観光振興として、町なかの無電柱化、観光バス乗降場の整備、快適なトイレ空間などが挙げられて、そして、徴税に係る経費、特別徴収義務者への交付金ということで記されております。12月13日までパブリックコメントを実施しているということでありまして、使い道について市民意見も参考にしながら、来年4月から導入したいという、そんな計画であります。 徴収金額は、宿泊料金が2万円未満なら200円、2万円以上は500円ということで、全国では東京都が2002年から導入をしまして、東京オリンピック・パラリンピックに向けた訪日客の受け入れ環境整備に重点を置いているということであります。2017年から導入をいたしました大阪府は、1泊1万円以上という宿泊客を対象としておりましたが、本年から1泊7,000円以上というふうに少し対象者を拡大している、こんな状況であります。国内外のプロモーション推進などの観光振興を税収の使途と定めているということであります。京都市では年間45億6,000万円の税収を見込んでおりまして、民泊対策、宿泊事業者支援、景観の保全など旅館業の経営力強化と観光地周辺のトイレの洋式化、そして新築の京町家の普及促進などに充てると、こんなふうにしております。こういった記事の内容でありました。 理事者は当然ご存じのことかなというふうに思いますが、この税制について、制度的にはどのような捉え方をしているのか、お伺いをいたします。 ○議長(上條俊道) 高野財政部長。 ◎財政部長(高野一司) お答えいたします。 宿泊税は法定外目的税に分類される地方税の一つで、観光振興を目的として宿泊施設で宿泊者に課税され、宿泊施設が特別徴収し、自治体へ納入します。近年では外国人観光客の増大に伴って注目され始めており、議員ご紹介のとおり、全国では東京都、大阪府、京都市が導入済み、金沢市が来年4月の導入を決定しており、ほかにも北海道、福岡県などが検討を始めていると伺っています。 一方、長野県におきましては、県及び県内の市町村ではほとんど検討自体を行っていない状況でありまして、本市におきましても具体的な検討はまだ行っておりません。 宿泊税が含まれる法定外目的税は、地方税法に規定された税目以外で地方自治体が条例によって独自に制定できますことから、自治体の自由度が高く、地方分権を推進する上で非常に有効な制度であると認識をしております。 以上でございます。 ○議長(上條俊道) 柿澤 潔議員。 ◆24番(柿澤潔) 〔登壇〕 ありがとうございました。 非常に有効な制度だと認識をしているということでありますし、検討を始めている自治体もあるということであります。これらを前提として、また次の質問をいたします。 導入実施に対する考え方をお伺いいたします。 金沢市は全国で4例目ということだそうであります。以前にもお話をしましたが、入湯税は限られた施設からの税を多用途に使っておりまして、旅館業の方々からは入湯税による恩恵が少ないというような、こんな意見もあったわけであります。この宿泊税は、民泊も含めて宿泊された全員から徴収するものであって、公平性も高く、それゆえに使い道を広げられる、そんなメリットもあるわけであります。 特に外国人観光客の増加によって、多言語表示や文化財の整備、またインフラ整備などの費用を賄いたいとする自治体が多いんではないかなというふうに思います。これから少し先を見ますと、徐々に全国に普及していって、入湯税ということよりも泊まれば宿泊税ということがもう当たり前になってくるんじゃないかなというふうに私は予想をしております。 平成28年の松本市内宿泊者数は160万人であったということであります。単純に200円を徴収すると、3億2,000万円になるわけであります。入湯税は毎年8,000万円前後という、こんな状況であります。数十億円を見込む大都市のようなわけにはいきませんけれども、それでも何より使い道が幅広い観光振興に充てられるということが非常にメリットの高い部分かなというふうに思います。 ぜひこの宿泊税導入を検討していただきまして、適切な時期に導入すべきであるというふうに考えますが、導入についてのお考えをお伺いいたします。 導入するとなると入湯税との関係ということがでてきますので、これをどういうふうにするか、少しお伺いをしたいなと思います。 その入湯税との関係が難しいかなという、そんな思いもあるんですが、日帰り施設は別にしても、二重課税になるとちょっといけないなというふうに思います。ですから、宿泊施設の入湯税が廃止か減額かという、そんな判断をしなければならないんじゃないかなというふうに思うわけであります。温泉施設に泊まってもお風呂に入らないから入湯税は払わないという、そんなお客さんがいたということを聞きますと、入湯税という名目そのものが余り響きのいいものじゃないかもしれません。 そうはいっても、重ねて徴収することになると観光客やビジネス客の負担の増加ということにもつながってしまいますので、十分な配慮をしなければいけないと思いますし、真っ先に手を挙げて誘客というところが冷え込んでしまってもいけないなという、そんな思いもしているところであります。しかし、もし入湯税を全廃したとしても確実に増収になりますので、廃止を含めた検討もしていくことが必要じゃないかなというふうに思います。 いずれこのことを議論するときがそう遠くないうちに来るというふうに思いますので、この導入への考え方、そして入湯税との関係というようなことをどのように考えるか、お伺いをしたいと思います。 ○議長(上條俊道) 高野財政部長。 ◎財政部長(高野一司) 2点のご質問にお答えをいたします。 まず、本市の宿泊税の導入についてでございますが、残念ながら現段階では、導入について明確なお答えをする状況にはございません。議員ご指摘のとおり、宿泊税は宿泊者全員に広く負担していただくことから、入湯税に比べ負担の公平性や税源確保の観点からは有効な方策の一つであると認識しております。 一方、次のような課題も考えられます。1つとして、議員ご指摘のとおり、そもそも本市への宿泊者の負担がふえるということから、訪日外国人を初めとした観光客やビジネスマンの誘客への影響が考えられること、2点目として、宿泊事業者に徴収から納税といった事務負担の増加への理解が得られるかということ、さらには入湯税との兼ね合いも考えなければならないということなどが課題として考えられます。 こういった乗り越えなければならない課題も多くありますことから、まずは全国各自治体や県及び県内市町村の実情など十分な情報収集と、先進都市の事例など制度自体の研究が必要不可欠であり、導入についての考えを申し上げるには時期尚早だと考えております。 次に、入湯税との関係でございますが、入湯税は地方税法に規定された税目でありまして、あくまでも宿泊税とは別の税金であることから、議員ご指摘のようないわゆる二重課税には当たらないと考えております。実際に金沢市にも確認をしたところ、金沢市では入湯税と宿泊税のそれぞれを課税するということでございました。しかしながら、納税者にとっては入湯税に上乗せして宿泊税を負担することになり、その負担感が大きくなることが予想されます。したがって、宿泊税の導入に当たっては、入湯税との兼ね合いを十分検討する必要があると認識しております。 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、まずは十分な情報収集と制度自体の研究が必要不可欠だと考えております。 以上でございます。 ○議長(上條俊道) 柿澤 潔議員。 ◆24番(柿澤潔) 〔登壇〕 有効な方策の一つであるという認識をしているということであります。 観光客の負担という話もありましたが、入湯税は問題なく今までずっと徴収をしてきております。宿泊税をかけたら観光客の負担というふうになるかということはちょっと考えづらいかな、200円という金額ですのでそこまでは考えづらいかなというような気もしております。 そして、事務負担でありますが、これは、入湯税はそれぞれの事業者が徴収することが義務づけられておりまして、それぞれの施設で徴収し、そして市へ払い込んでいるという状況で、市から手数料を払っているというような状況じゃありませんので、この宿泊税を導入するに当たっては、その徴収義務者に対する手当てということも含まれております。かえって、今まで同じことをやっていたんですが、こうして事務手数料をもらえるとなると、それは時間的な負担はありますが、そういう厳しさではないんじゃないかなというふうに思っております。 また、入湯税の金額は決められますので、いろんな研究をして余り負担が、350円、500円というような、ぐっと大きな金額にならないように調整は可能じゃないかなというふうに思います。 私、最も大事なことはその導入の時期だというふうに思うんですね。東京都、そして大阪府、京都市、金沢市とこう導入をしてきます。そうすると、それぞれ様子を見ながらあちこち導入を考えるようになるんですが、自分のまちの税収が自分のまちで使えないということがないようにしなければいけないなというふうに思うんです。都道府県単位となると、3億2,000万円もし仮に徴収できたとしても全県に配分というようなことになりますから、存分な使い方ができないし、どう使ったのかがちょっとわかりづらくなるというようなこともありますので、ぜひ、先駆けて名乗りを上げるということが私は重要じゃないかなというふうに思います。 どこでも観光客の取り合いであります。そして、どこの観光地にも整備しなければいけないものが山積をしているという状況でありますので、ぜひそんなところへ生かしていただきたいなというふうに思います。公共交通の維持ということに使ったり、アクセスのよさを確保したり、多言語の案内を見ていただいて松本のまちや山岳を心置きなく、気持ちよく歩いていただく、そういうふうに考えるのが自然じゃないかなというふうに思いますので、よく検討していただきまして、少しでも早い時期に導入をしていっていただきたいなというふうに思います。目の前の3億2,000万円ですので、逃がさないようにぜひよろしくお願いをいたします。 続いて、次の質問に移ります。 楽しい食育ということで、給食レシピを家庭にということでお伺いをいたします。 この給食レシピは大変関心があって、前からこういったお話もあって、また実施に移していただいているわけでありますが、私どもの地域に、もう六、七年になるでしょうか、保育園サポーター事業が発足をいたしました。当時の地区公民館長を会長として、その名も育ジイ会といいます。保育園に孫が通っている、その家の人を対象に当時の地区公民館長が呼びかけまして、保育園の周辺整備を手伝おうという、そんなことから始まったわけであります。現在ではお孫さんがもう大きくなって保育園に在籍をしていない方でも、継続して作業をしていただいているわけでありまして、草刈り、樹木の剪定、園児がつくるサツマイモなどの畑の草刈りや畑を起こしたり、また、子供たちの遊ぶ児童センターや地域づくりセンターに併設してあります公園などの整備を1年通して行っております。 焼き芋会や餅つき会などでは、たき火の係をしたり餅つきを一生懸命手伝ったり、子供たちと一緒に行うわけであります。非常に活躍の場は広いわけでありますが、本来なら保護者の役割かなと思いますが、保護者は保護者として、また保護者会としてそういった作業にも携わっておられるということでありますし、なかなか現役世代は時間がたくさんとれませんから、そのかわりということでじいちゃんが頑張っているという、こんな状況であります。 それはそれとして、今高齢者と言われるような私たちにとりまして園児のための作業というのは、生きがいとまでは言えませんが大変張り合いになっている、そんなふうに感じているんじゃないかなと思います。私の隣の地区でも、園児と一緒にタマネギの苗を植えたり、また収穫も一緒にやっているという、そういう方々がおりまして、どこの地区でも子供の応援団が活躍をしているという状況じゃないかなと思っています。 お餅を一緒に食べたり、焼き芋も一緒に食べたりします。畑でジャガイモがとれるとカレー会をしていただいて、育ジイ会のメンバーみんなが招待をされて、五、六人ぐらいの園児と一緒にテーブルを囲んでそのカレーをいただくわけでありますが、大変おかしくておもしろくて、またかわいくて、本当に何とも言えないいい時間を一緒に過ごさせていただいております。こういうときって不思議なもので、胸がいっぱいでたくさん食べられないんですね。おもしろいものだなと思っています。もちろん、給食費はお支払いをしております。 それで、このカレーがおいしかったものですからレシピはないかと、こんなことを聞いたことがあったんですが、おいしくできていて、本当に一度自分の腕でつくってみたいなと、こんなふうに思ったところであります。保育園での給食も学校での給食も栄養バランスを考えてありまして、またカロリー計算もできておりまして、家庭で子供と一緒につくって、楽しく食育の実践や家族団らんの日がこの給食レシピ一つあればかなうということであれば、本当にそれぞれの家庭にとっていい日になるんじゃないかなと、そのことは間違いないなというふうに思います。 現在、市では献立表やレシピは保護者に配布しているようでありますし、市のホームページで写真つきのレシピを見ることができます。ちょっと見ますと、幾種類もの材料を使って深い味わいだろうけれども、調理に時間がかかるんじゃないかなというふうに思うんですが、ちょっと説明書きを見ますと意外とできそうな気がしてきます。しかし、現実、子供を保育園に預けるんですから、保護者は大変忙しいというふうに思います。レシピの内容には関心はあっても、それを実際につくるということはどうなのか、実際にどれだけできているかということが心配であります。また、手のかからないものを望んでいるんじゃないかなというふうに思ってもいるところであります。 毎月19日に向けてレシピを発行していただいたりしておりますが、せっかくの給食レシピであります。もっともっと拡大をしていただいて、ばあちゃん、じいちゃんも参加して、家族団らんのいい日をたくさんつくっていただきたいなと、こんなふうに思っております。そして、できることなら一般的な調味料と家庭の調理器具でつくることができる給食レシピをどこの家庭でも見られるようにしていただくと、食と健康により関心が高まっていくんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。見解をお伺いいたします。 ○議長(上條俊道) 伊佐治こども部長。 ◎こども部長(伊佐治裕子) お答えいたします。 ただいま議員からは育ジイ会の活動をご紹介いただきましたが、核家族世帯で家族団らんの機会もままならない子供たちがふえている中、祖父母世代の皆さんと園児とが楽しく食事を囲んで交流する機会をつくっていただいていることに対し、この場をおかりして御礼申し上げます。 保育園給食では、毎日の食事を食育の基本と考え、天然だしの使用や手づくりのおやつ、薄味などにこだわって提供をしております。保護者の皆さんからも家では食べられなかった苦手な食材を給食を通じて食べられるようになったなど、大変喜んでいただいております。 そこで、先ほど議員からご紹介いただきましたように、保育園や学校では豊かな人間性を育むための食育推進事業の一つとして給食レシピ集やリーフレットの配布を行っております。また、その内容をホームページにも掲載しております。保育園では給食の実物展示を毎日行って、その活用に取り組んでいるところです。 今議員からは、家族団らんの機会をふやすために一層の工夫をというご提案をいただきました。今後、日々忙しく過ごしている保護者が家庭で気軽に食育を進めていくことができるよう、より具体的で手軽につくれるレシピの提供や、給食試食会、親子料理教室等の実体験の場を活用しながら支援をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(上條俊道) 柿澤 潔議員。 ◆24番(柿澤潔) 〔登壇〕 ありがとうございました。 給食試食会や親子料理教室の開催、またお勧めレシピの配布というようなことに取り組んでいるということでありますし、一層手軽にできるものを推奨していきたいというお話でありました。 こうして年4回定例会が開催され、その都度、議員の約半数が提案やら、そして要望やらを申し上げるんですね。それを実施できるところから理事者の皆さんには取り組んでいただいているわけでありますが、ここで毎年毎年、毎回毎回一つずつ提案をしていますとどんどん仕事量がふえていってしまうんじゃないかなというふうに思います。 この給食レシピ集も、過去にも提案があってこうして実施していただいて、発信する方は大変努力をして行っているというふうに思います。ですので、保護者の皆さんにどれだけ活用してもらっているかというような調査を、余り厳しい調査はできませんが、少しそんな雰囲気を感じ取っていただいて本当に多くの方が利用していただくと、こうした給食レシピ集を発信する皆さんも少し張り合いがいいかなというふうに思いますので、そんなこともぜひ確認をしていただいたりして、効率のいい取り組みをしていただきたいなというふうに願っております。ありがとうございました。 もう一点、先ほど育ジイ会のお話をしましたが、孫のために、また保育園のためにというふうに手をかすということは決して抵抗あるものじゃありませんし、もともと庭の手入れや農作業をしていた世代でありますから、仕事としては何でもないことであります。ただ、保育園の立地状況やその必要性などが異なりますし、また、保育園自体の方針もあるわけであります。このような取り組みは自然豊かな地域の保育園ほど必要になってくるんじゃないかなというふうに思いますので、そのような保育園に拡大をしていったらいいなというふうに願いを持っているところであります。ぜひ、こんなことをやっているところもあるよという紹介をまたしていっていただいて、地域を挙げて子供たちを応援する、そんな世情が広がればいいなと思っております。 こんな育ジイ会のような取り組みについて感想と、褒めていただければうれしいなと思いますので、一言お願いをいたします。 ○議長(上條俊道) 伊佐治こども部長。 ◎こども部長(伊佐治裕子) お答えいたします。 育ジイ会の皆様には、日ごろ草刈りなどの園整備を朝早くから行っていただいたり、園行事に対しても熱心にご協力をいただいていると伺っております。また、子供のみならず職員も知らなかった地域の伝統行事などいつも優しく教えていただき、職員一同大変感謝をしております。 先ほど議員からは、育ジイ会の皆さんにとっても張り合いとなっているとのお話をいただきましたが、園児が地域の皆さんと楽しく活動することは、子供たちにとっても豊かな体験を広げるかけがえのない機会となります。このような活動を広く市民の皆さんに知っていただくことも必要と感じました。 議員がおっしゃられたように、地域や園の規模によって状況はさまざまであり、他の地域で育ジイ会と同じように活動していただくことは難しいかもしれませんが、地域全体で子供たちの成長を見守っていただける活動が今後も広がることを願っております。 以上でございます。 ○議長(上條俊道) 柿澤 潔議員。 ◆24番(柿澤潔) 〔登壇〕 ありがとうございました。 何か来年度以降またしっかりやらなければいけないなという、そんな気持ちになってまいりました。本当にありがとうございました。 子供の顔を見ながらいると何となく気持ちが高揚するといいますか、本当に私どもにとってもうれしい、小さな子供たちと会話ができて触れ合えることはうれしいなというふうに思っているところであります。善行表彰がもらえるまで頑張りたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(上條俊道) 以上で柿澤 潔議員の質問は終結いたします。柿澤議員は自席へお戻りください。 暫時休憩いたします。 再開は午後1時といたします。                             午前11時53分休憩                              ---------                                 午後1時再開 ○副議長(小林弘明) 休憩前に引き続き会議を開きます。 市政一般に対する質問を続行いたします。 次に、5番 若林真一議員の質問を行います。若林真一議員は質問者待機席へ移動してください。 5番 若林真一議員。 ◆5番(若林真一) 〔登壇〕 誠の会の若林真一です。 犬飼信雄議員、阿部功祐議員とともに一括にて質問いたします。 初めに、次世代交通政策について質問します。 自動車に過度に依存しないまちづくり、環境に優しい自転車や公共交通の利用と歩行者を優先する施策として推進していかなくてはいけないと感じるところですが、その推進による反面の危険に注意喚起の必要があります。 町なかを歩いていただくのは、ついでに買い物をするというような経済効果が見込め、地域コミュニティーの活性化にもつながります。公共交通としてタウンスニーカーの増便や地域主導型公共交通事業が成果を上げていることもあり、生活の足として今後さらに需要が増すように思います。さらに、市内の公共交通空白地をできるだけなくしていただき、市民の回遊性、利便性、交流の場として利用促進を今後も追求していただきたいと考えています。 そこで、自転車利用については、保育園の送り迎えや買い物、通勤・通学、生活の足として自転車は気軽な交通手段の一つですが、マナーを考えていかないと、次世代交通政策を推進していく中で自転車利用の増加に伴い、事故がさらに増加するように思います。 本市では自転車安全利用対策事業を行っており、自転車の安全、ルールなど広報や周知をしていますが、県内平均よりも事故率が高く、原因の一つにあります学生のマナー違反が半分を占めています。県からは、仮称ではありますが自転車の利用に関する条例の骨子案が示されていますが、制定されれば自転車利用がより一層増加するのではないかと推測するところです。 自転車走行空間の幅員が狭ければ歩いてくださいというのは十分わかりますが、自転車走行が厳しい道路幅というのも問題があるように思います。そこで、自転車走行空間を、地域や学校、警察で把握している危険箇所を踏まえ、地域ごとに市民協働として小・中学生に自転車危険マップを作成してもらうことで、自転車のルールやマナーを小・中学生に理解してもらうよい機会になると思います。 あわせて、安全で安心な自転車走行の意識が高まり、事故防止につながると考え、子供たちによる取り組みをしてほしいと考えますが、市の見解をお伺いします。 次に、中学校夜間学級、以下夜間中学としますが、その設置に関する調査からの教育委員会の考えについてお尋ねします。 昨年、長野県における中学校夜間学級設置における課題検討会が研究報告を公表しました。この検討会の設置経過として、夜間中学は義務教育未修了者などの就学機会を確保する上で重要な役割を果たす可能性があるという認識のもと、市町村教育委員会と連携し、夜間中学の設置の必要性について研究し、本県における夜間中学の設置について今後の方向性や課題を検討するというものでした。 夜間中学は戦後の混乱期において義務教育を修了できなかった方の就学機会を保障する場として役割を果たしてきたが、最近では中学校を不登校などの理由で十分に教育を受けることができなかった方の学び直しの場としての役割を担っています。この前提で調査を県内で行われたことになるわけですが、15歳以上の方が対象ということで、幅広い世代や国籍というように個人によってニーズが異なり、困難な調査であっただろうと推察します。 夜間中学の必要性としての情報を生かすという点では、この報告書の内容では難しいのではないかと思います。この報告書は大まかに市町村別になっており、詳細な記載があるわけではありませんので、どのような聞き取りやアンケート調査を行ったかについては見えにくい状況にあり、教育委員会で話し合い、調査結果をどう受けとめたのかはうかがい知れません。長野県議会でも夜間中学に係る幾つかの質問もされており、新しい形態の中学となるので、多様な学びの場を確保していくという視点も加えつつ可能性を検討していくとしています。 この報告書には、これまでの調査結果の分析や本県における課題の整理を踏まえ、入学希望既卒者、年齢超過の外国籍の者の受け皿として夜間中学を設置することについては現時点でのニーズは確認されなかったと記載されていますが、市町村教育委員会との連携のもととあり、教育長からは以前、中島議員からの質問で研究するという答弁もありました。 そこで、松本市教育委員会の調査結果を受けての所感についてお尋ねいたします。 次に、まつもと文化遺産についてお尋ねいたします。 このたびは、去る11月16日に文化審議会から林小城の国史跡の追加指定が答申され、一連の中世の信濃守護を務めた小笠原氏の本拠である井川城と林城が全て国史跡となりました。大変、地元では喜んでいるところでございます。 また、本年3月に策定した松本市歴史文化基本構想は、文化財の保存・活用のマスタープランとして文化庁が策定を推奨するもので、松本市が県内では初の策定でありました。この構想の策定に当たって、市内35地区の公民館を拠点に各地区の住民が自分たちの地域の文化財の悉皆調査を行い、1万1,000件の文化財を把握したと聞いています。まさに官民一体となった理想的な事業であり、文化庁も松本市の手法を高く評価したということをお聞きしております。 山辺谷は松本市の中でも古くから人の住み始めた地域として知られ、文化財の宝庫であり、入山辺地区と里山辺地区それぞれ今回の調査結果を冊子にまとめることができました。また、山辺の山城・文化財マップも作成し、周辺散策の資料として活用をされています。このマップですが、歴史を知る方の多大なる協力があり、500部作成しましたが、好評につき700部増刷をしたそうです。歴史をたどれ、子供たちにも教えられる資料というのは、住んできた歴史とかけがえのない思いが詰まっているのだと思います。 さて、最近の新聞報道にありましたまつもと文化遺産制度は、この歴史文化基本構想から発展した取り組みと聞いていますが、松本市のこの施策の目的や今後の支援についてお尋ねしまして、1回目の質問を終わりにします。 ○副議長(小林弘明) 赤羽教育長。 ◎教育長(赤羽郁夫) 〔登壇〕 お答えをいたします。 国の方針を受けまして、長野県では議員ご紹介の中学校夜間学級設置における課題検討会を開催いたしまして、市町村教育委員会代表として、本市の福島教育委員もメンバーとして参加をし、検討が進められ、平成29年3月に報告書がまとめられました。同じ年の1月、私もかねてから中学校夜間学級に強い関心がありましたので、奈良市の夜間中学を教育委員の視察研修として訪問するなど、設置に向けての可能性を探ってまいりました。 県の課題検討会報告や視察研修の結果を総合的に検討いたしましたが、中学校夜間学級の設置にはニーズの把握を初め財政、人材の確保など多くの課題があり、すぐには困難であることがわかりました。 しかし、松本市教育委員会では、以前から不登校児童生徒への支援、外国籍児童生徒への支援、形式卒業児童生徒への学び直し支援が大きな課題であると認識し、さまざまな施策に取り組んできましたことから、まずは青少年ホームで若者が気軽に集まれる居場所づくりをしながら、多様なニーズを把握し、学び直し等の支援につなげる取り組みを始めたところであります。そして、たとえ途中でつまづくことがあってもやり直しができ、多様な選択肢の中から自分の将来を探っていく方向での支援に取り組んでいきたいと考えております。 以上であります。 ○副議長(小林弘明) 小出建設部長。 ◎建設部長(小出光男) 〔登壇〕 自転車利用の安全対策に関するご質問にお答えをいたします。 議員ご紹介のとおり、松本市ではこれまでも自転車利用の安全対策につきまして、チラシの配布や広報まつもとの記事による周知を初め、世代別の交通安全教室や街頭での声かけなど、機会を捉え自転車のルールやマナーの啓発に努めてまいりました。 議員ご提案の小・中学生が地域の自転車危険マップを作成する取り組みは、子供たちの自転車事故の抑止につながるものと捉え、大変有意義であると考えております。また、先月25日に開催されました第35回松本市青少年健全育成市民大会・「松本子どもの権利の日」市民フォーラムでは、まつもと子ども未来委員会の皆さんから、交通ルールやマナーの向上について子供目線によるすぐれた提言がございました。 このように、小・中学生がみずから考え行動することは、自転車の安全利用を初め交通ルールやマナーの向上が図られるものと捉えており、自転車危険マップの作成も含めまして、どのような取り組みが効果的か、まずは小・中学校の先生方や関係の皆様方に相談をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 矢久保教育部長。 ◎教育部長(矢久保学) 〔登壇〕 まつもと文化遺産制度の目的や今後の支援についてお答えいたします。 松本市歴史文化基本構想では、議員からご紹介のありましたとおり、35地区の住民の皆様がみずから地域の隅々に足を運び、文化財を調査いたしました。その数は実に1万1,632件に達しております。 これらの文化財につきまして、歴史的・地域的関連性を持つ一定のまとまりとして捉えたものを関連文化財群とし、165件を設定いたしました。関連文化財群にはそれぞれの地域のテーマやストーリーがあり、それが地域特有の魅力となっております。こうした関連文化財群を使って具体的な事業計画を立て、市民の皆様が主体的に継続的な保存活動を図っていくものをまつもと文化遺産として認定していきたいと考えております。 まつもと文化遺産制度によりまして、市民がみずからの地域に誇りを持ち、まちづくりや地域の活性化につながることを願っております。また、事業を実施する団体に対して財政的支援ができるといった仕組みを現在検討しております。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 5番 若林真一議員。 ◆5番(若林真一) 〔登壇〕 それぞれ答弁をいただきましたので、2回目の質問ということで、次世代交通政策について質問をいたします。 先日、長野県警察からことし4回目の交通死亡事故多発警報も発令されたので、まつもと子ども未来委員会の提言も踏まえて有効的な取り組みを相談していただきたいと、そのように思います。 そして、自転車利用は促進をしてほしいがマナーは守らないといけないという、その大原則を守りながら、次世代交通政策の推進として電動アシストつき自転車、以下電動自転車としますが、その利用促進をしてはと思います。次世代交通政策は、重点地域を市街地の平地という考えですが、さらに自転車利用を促進するのには、山間地の坂道でも移動できる電動自転車が有効ではないかと思います。 運転免許証は持ちつつ自動車から自転車へ切りかえる効果や運転免許証返納後の対応、運転免許証返納を考えている方の大きな後押しになるように思います。そして、子育て家庭の移動手段として、バスといった公共交通や徒歩や自転車という選択肢もありますが、近年30代から50代の女性の購入が増加していると聞いている電動自転車という選択肢も大きく広がればと、そのように思います。電動自転車の活用により次世代交通政策の推進にもつながり、健康としても電動自転車の馬力を利用すれば走行距離の延伸が図られ、健康増進やCO2削減、いわゆる温暖化対策にも貢献できるのではないかと考えます。 そこで、本市として、健康、環境、次世代交通政策の推進という観点から、さらなる自転車利用を図るため、電動自転車の普及促進の取り組みを行う考えはないか、お尋ねいたします。 次に、夜間中学について、教育長から答弁をいただいたところでございます。 可能性を探った視察研修があり、大きな課題が見えてきたということで、すぐには困難という答えがわかっただけでもよい方向だったかなと、そのように思います。ニーズや財政、人材という大きな課題があるにせよ、調査結果を踏まえ、自分の将来を探っていく支援の方向で取り組んでいきたいということなので、じっくり考えて行動に移していただければなと、そのように願うところでございます。 次に、夜間中学設置の3点について質問をいたします。 近年、義務教育の就学率はほぼ100%ではないかと想像しますが、病気や発達障害、不登校などの理由でしっかりとした教育が不十分のまま卒業する方もいるのではないかと思うところです。学校という公共の場で学びたいとしても、どうしても学べないというケースがあるのです。 夜間中学は戦後の混乱期という表現をしていますが、さまざまな理由で学校に行くことができないという根本的な課題が現代社会にはあり、大人のひきこもりにつながるケースも考えられるところです。義務教育を卒業したその後の進路というのは、人生において大変重要な時期になるとは誰しもが考えます。高等学校は各都道府県の所管であり、さまざまな選択肢がそろい、そのあり方も多様化しています。そのような背景から今後の課題というのが見えてきます。 15歳という年齢は人生の選択を迎える時期になります。義務教育修了後は大きなくくりとしての社会において自立が求められ、おのおのがそれぞれの選択をしていきます。 私が話を聞いた中では、不登校児がいるが、学校で学ぶという機会があれば行かせたい、本人の意思確認ができるかというようなことや、ひきこもりからの脱却をしてほしいので、社会進出のきっかけづくりを助けてほしい、地域の行事参加はするが、昼間の学校には途中で不登校になってしまってそのままの状態といった理由で、中学校を形式卒業者として終わられる方のその後の学びや居場所を家族が悩んでいても、手を差し伸べるようなシステムが余り構築されておらず、AIの急速な進展、外国人労働者の雇用などで、いわゆる不登校などで高校進学を希望できずにいる子供は就職もままならず、若年層のニート状態が続く可能性が高いのではないかと思います。 そこで、1つ目として、青少年ホームを活用した学び直しの機会が必要ではないかと考えますが、この点についてお尋ねします。 どんな状況下に置かれても教育の場というのは必要であり、それが学校という学び舎であればなおさらよいにこしたことはないです。校舎のにおいや友達と話した放課後、先生に褒められたことや怒られたことなどは、勉強を忘れても心の奥にずっと思い出として記憶されているものです。そんな経験が誰しもあることが健全な精神であり、生きる上で大きな糧となり、活力になります。高校のようにさまざまな地域から通うのではなく、中学校は地元の子供の集まりであり、中学校時代の同級生が消防団活動などの地域づくりの担い手になるのは明らかであり、大人になったときに同様のつき合いができることは有意義なライフスタイルにつながります。 そうなると、なおさら現在の不登校ぎみの子供たちの社会での孤立を防ぐのは喫緊の課題であり、対策が急務になってきます。 そこで、2つ目としまして、中学校の中間教室を活用した不登校やひきこもりの中学生への支援はどのようにされているのか、伺います。 不登校やひきこもりは、全体から見れば少数派と言われればそのとおりなのかもしれませんが、その多感な時代を大切にしない限り、将来の光をつかみにくくなるように思います。いわゆる成功体験などが乏しくなり、ともに生きるという共生社会に打ち解けなくなってしまう気がします。そのような状況を環境で援助するのが政治であり、親子のきずなであり、黒子である行政ではないかと思います。それが生きがいの仕組みづくりの一端を担うのではないかと考えます。 そこで、最後に、中学卒業後の社会的な孤立を防ぐ支援として、教育長からはすぐには困難とありましたが、夜間中学を設置してはと思いますが、市の考えをお尋ねします。 次に、史跡の整備についてお尋ねします。 市民協働作業で保存・活用がしっかりできればよいのですが、どうしても立ち行かない場面もあろうかと思いますので、十分な財政的支援と調査、住民との相互理解のもと、情報提供をお願いします。 松本の都市の魅力は、松本城とその城下町に象徴される町並みや、旧開智学校や旧制松本高等学校に象徴される教育を尊重する気風といった、まさに歴史や文化であり、そうした都市像が市民に誇りを感じさせ、外から松本を訪れる観光客の増加につながるものと考えます。 国も文化財の積極的な活用を求めており、松本市においても近年は松本城や上高地だけではなく、周辺の自然や文化財を訪ねて自然や文化と親しみ、健康づくりを兼ねた休日を過ごす方たちがふえてきています。 山辺地区には県史跡である針塚古墳が里山辺地区の田園地帯の中にあり、古墳時代中期の5世紀後半に築造された積石塚古墳と言われています。古墳周辺には田畑が広がり、視界を妨げる建物がないことから360度の展望が得られ、美ケ原やアルプスの展望がすばらしく、古墳を訪れる皆さんは、古墳のほかに美ケ原やアルプスの景観を写真で撮られるなどして楽しまれています。 そのような折に、来訪者の方々から付近の耕作をしている地元住民に山の名前を尋ねられる機会が多くなっています。しかしながら、突然山の名前を尋ねられても正確に答えるのが困難というのが周辺住民の思いであり、声でした。観光客に針塚古墳からのすばらしい美ケ原やアルプスの景色があるのに聞かれても説明ができないということで、山の名前が一目瞭然でわかる案内板があればとの意見が出てきました。 このことを重要な課題として捉えたのは、針塚古墳が史跡としての価値だけではなく、周辺の景観や地域住民との交流といった付加価値が重要な役割を果たし、観光客に見る、聞く、感じるといった多岐にわたる経験を提供できるという気持ちを強く抱いたからです。それを思うと、単に文化財だけではなく、自然や人情といった松本の全体像を観光客が楽しみにしていて、文化財の活用には多方面からのアプローチがあるように思います。 そんな意図もあり、針塚古墳へ山々を解説する案内板をぜひ設置していただければと、そのように思います。そのことは、まさに松本市歴史文化基本構想の趣旨と同様の保存と活用であり、地域住民のみならず大勢の観光客にも喜ばれるように思います。文化財の多方面からの活用を考え、実行していくことで、文化財のさらなる魅力につながることはもちろんのこと、文化財の有効活用の幅が広がるように思います。 そこで、指定文化財の整備に際しては、単に文化財の解説だけではなく、連なる山々の案内板や付近のガイドマップなど、文化と観光の両面に役立つ整備をしてほしいと考えますが、市はどのようにお考えかお尋ねをして、2回目の質問を終わります。 ○副議長(小林弘明) 小出建設部長。 ◎建設部長(小出光男) 〔登壇〕 電動アシストつき自転車に関するご質問にお答えをいたします。 議員ご紹介のとおり、電動アシストつき自転車は坂道における走行や体力に自信のない方でも快適に移動ができ、また移動距離の延伸など、一般自転車よりも利便性においてすぐれている点があると認識をしております。 松本市役所でも、平成27年7月、公用自転車として5台の電動アシストつき自転車を導入し、公用自動車の使用削減につながっております。また、来年4月から事業開始を予定しておりますシェアサイクル事業では電動アシストつき自転車の導入も検討しており、市民の皆様にご利用いただける機会がふえるものと考えております。 つきましては、今後シェアサイクルの利用状況や市民の皆さんのニーズを捉え、電動アシストつき自転車の普及促進の取り組みの必要性について判断をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 矢久保教育部長。 ◎教育部長(矢久保学) 〔登壇〕 中学校夜間学級に関する3点の質問のうち、最初に青少年ホームを活用した学び直しについてお答えいたします。 青少年ホームでは、若者が気軽に集まってくる、魅力ある居場所づくりを推進しております。今年度からはコーディネーターを配置し、若者に寄り添いながら仲間づくりや交流を深めていく取り組みを始め、新企画のイベントには発達障害のある若者が参加するなど、少しずつその効果があらわれております。 青少年ホームでは、大勢の若者が集まる中から、いわゆる形式的な卒業等のため基礎的な学力の学び直しを希望するといった潜在的なニーズを掘り起こし、まずは個別に対応した学習支援を行い、将来的には多様なニーズに対応できる学習支援の場へと発展させていきたいと考えております。 次に、中間教室での支援につきましてお答えします。 中間教室は、何らかの理由で登校が困難な状態にある小・中学生に対し、悩みの相談や学習支援を行う場として、山辺、鎌田、波田の3カ所に開設しております。 若林議員からご提案のありましたとおり、中間教室では今後学習支援をさらに充実していくとともに、通室している子供たちの特徴や願いを捉えて個性と自信を育みつつ、キャリア教育的な視点を加え、将来、社会で自立していくための支援についても検討してまいりたいと思います。 3点目として、基礎的な学習の学び直しが必要な子供の社会的な孤立を防ぐための支援についてお答えいたします。 学校で同級生と遊び、一緒に勉強した経験の少ない子供は、地域や社会の中で孤立し、結果としてひきこもりになる可能性が高い傾向にございます。そのため、例えば青少年ホームのイベントやサークルに参加し、自分の役割や居場所を見つけるとともに、困ったときに相談し、支え合える仲間をつくることが大切でございます。 さらに、地域における住民同士の関係づくりを進めることが重要だと考えます。各地区の公民館では人と活動を結びつける事業を展開し、町内公民館では子供の見守りや安否確認など地域での孤立を防ぐ町会サロン事業なども行われておりますので、まずは公民館にご相談いただければと思います。 なお、現在、松本市の公民館では東京大学牧野研究室と連携し、身近な地域で一人一人が主役となり、楽しく生きがいを感じながらともに助け合って暮らしていくことが可能な地域共生コミュニティーの形成や、新たな社会システムの構築を目指して研究と実践に取り組んでおります。 1回目の答弁で教育長が申し上げましたとおり、一度つまづいてもやり直しができ、多様な選択肢の中から自分の将来を探ることができる方法での支援を、中学校夜間学級の設置ありきではなく柔軟に取り組んでいきたいと考えております。 続きまして、文化財の整備についてお答えいたします。 歴史や文化を生かしたまちづくりは、自分たちの住む地域に誇りや愛着を持つことにつながります。さらに、その営みは魅力的な都市像を形成し、結果として観光振興にも貢献し、地域の活性化に重要な役割を果たします。そのため、議員ご発言のとおり、これからの文化財に関連した整備は、従来の文化財に対する発想を超えて、地域づくりや観光面とも連携した柔軟性を持つ必要があると考えております。 そこで、若林議員から力強くご提案のありました針塚古墳のアルプス景観の案内板につきましては、そのモデルケースとなるものと考え、早速、設置をしてまいります。さらに、今後は地域づくりや観光面に配慮した多面的な視点を持って整備に取り組んでいきたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 若林議員。 ◆5番(若林真一) 〔登壇〕 3回目は要望とします。 電動自転車については、山間地への利用促進はシェアサイクルの利用状況やニーズを見ながら普及促進の取り組みの必要性を判断するというようなことでしたので、まずはそのシェアサイクルの成功が転機になるんじゃないかなと、そのように思います。 シェアサイクルが成功していく中で需要が見受けられ、普及促進を進めるという判断がされたときには、家庭では少し高額なイメージがある電動自転車なので、次世代交通政策の推進という意味と経済効果も考えられますので、公費助成みたいなものの導入も考えていただければと、そのように思います。 都市計画道路などの大型道路が完成すれば自転車や自動車の流れが明らかに変わるのだろうと、そのように思います。例えば、都市計画道路中条白板線を横切るアルピコ交通上高地線西松本駅の踏切付近のような自動車も自転車も徒歩も通りづらい道にはならないように思います。自動車、自転車、徒歩の安心・安全な次世代交通政策の推進には都市計画道路などの大型道路事業の推進が必要ですので、早期実現に期待をいたします。 次に、夜間中学ですが、設置ありきではなく柔軟に取り組むということですので、将来的には多様なニーズに対応できる学習支援の場に発展させたいという考えですので、本当に明るい希望が持てるような答弁だったなと、そのように思っております。そこにはキャリア教育的な視点を加えということで、将来、社会での自立の支援も検討していくということですので、切れ目のない継続性のある支援をお願いしたいと思います。 中間教室の方に聞きますと、進学希望の子供が多く、高校受験を考えて学校復帰を決意した子供や、どこまで支援できたかわからないが中間教室と学校と支援員が連携をして学校という空気に少しずつ触れていくことで学校復帰ができた子供など、さまざまな要因で学校復帰ができたという子供がいるという話を私も先日お伺いをしました。 15歳は義務教育が終わり、社会という集団の中で生きることになります。答弁にあった中間教室の3施設のうち、1施設は鎌田中学校の敷地内にあります。学校復帰の支援が中間教室の目的であり、3施設のより緊密な連携と息の長い、幅の広い支援が今後も必要になるのではないかなと、そのように思います。 最後に、文化財の整備についてですが、早速に案内板の設置をしていただけるということで、住民要望がかなったということなのでまたお願いをしたいと、そのように思います。 景色というものは春夏秋冬、日に日に変わり、同じ景色は二度とないです。一度しか訪れない方にも十分に楽しんでいただける文化財であってほしいと、そのように思います。 観光の面からいうと、山城の整備は喫緊の課題だなと、そのように思います。周辺整備をしていかないと松本の宝に皆が訪れなくなると思いますので、文化財の整備及び道中や周辺の森林整備をお願いしながら、そして、観光という観点で活用を考えているのであれば東山地域の観光のさらなる推進を願いまして、私からの全ての質問を終わりにします。ご清聴ありがとうございました。 ○副議長(小林弘明) 以上で若林真一議員の質問は終結いたします。若林議員は自席へお戻りください。 次に、16番 犬飼信雄議員の質問を行います。犬飼議員は質問者待機席へ移動してください。 16番 犬飼信雄議員。 ◆16番(犬飼信雄) 〔登壇〕 発言の機会をいただきましたので、誠の会を代表いたしまして、若林真一議員に引き続き、阿部功祐議員とともに、通告に従いまして、件名ごと一括にて質問させていただきます。 なお、多くの私見を交えることをお許しいただきたいと思います。 松本山雅FCがJ2で初優勝を果たし、来期のJ1昇格が決まりましたことに対しまして、心よりお祝い申し上げます。また、2027年の長野県で2回目の国民体育大会の主会場が松本に決まりました。音楽とスポーツ都市宣言のまち・松本にとって二重の喜びです。選手の皆さん、スタッフの皆さん、招致に尽力された関係する皆さんに、心から拍手と感謝の気持ちをお贈りいたします。 J2優勝、2回目の昇格、2回目の主会場と、2がラッキーナンバーのようです。この上は、大相撲の御嶽海関にも初場所では2度目の優勝を達成していただきたいと思います。 また、本年2月定例会において、松本山雅FCの2試合続けての引き分けスタートを多くのサポーターを含む皆さんが残念がっている中、私はJ1昇格に向けてさい先のよいスタートを切ったと断言しました。また、国民体育大会の主会場招致に向けた取り組みについて提案できたこと、そして、5年前の平成25年9月定例会において学校冷房装置設置をイの一番に提案し、その後、多くの議員の後押しにより今定例会に予算計上されたこと、これらの案件は先を見据えた質問、提言であると自覚したところでございます。それでは、質問に移らせていただきます。 初めに、保育行政について、待機児童の現状と見通しについて。 この件につきましては、昨日、青木 崇議員の質問で答弁をいただいていますので、視点を変えて質問させていただきます。 昨年の12月定例会において、田口輝子議員の待機児童についての質問に対し、46名の待機児童が生じているとともに、82名の潜在的待機児童がいて、合わせて128名が保育園への入園を待っているとの答弁がありました。これは長野県下初の待機児童数の公表であり、大きな波紋を広げるとともに、かつて保育行政を担当した者として驚きを覚えたものです。 私はこれを受け、本年2月定例会において菅谷市長に、あえて正直に待機児童数を公表した背景にはどんな考えがあるかお聞きしましたところ、市長からは、まず市民に対して正確な情報提供をすることに努め、顕在化した問題を包み隠さずに明らかにして、速やかに必要な対策を講じていく決意と、待機児童数が発生している市の責務として、県や他の市町村に対して問題提起をするため公表したこと、その上で対策を進めていくという考えを示されました。私はこれを受け、市長に対し、これこそが市政を預かる真の姿であり大変大切なことだと、少し生意気に聞こえるかもしれませんが評価させていただきました。 そこで、昨年の発表から待機児童の解消に向けた取り組みを進める中、児童保育環境の違いはあると思いますが、1年が経過しましたので今現在の待機児童数と潜在的待機児童数を伺う予定でしたが、昨日の答弁で待機児童71人、潜在的待機児童128人、合わせて199人と答弁がありましたので、私からは今後の見通しについて重点的に伺います。 実は、この質問について考えをめぐらせている際に「長野市、待機児童の可能性」と新聞の1面トップで報道され、偶然でしょうが昨年の松本市と同じタイミングで、松本市の公表とまさしく酷似しており、改めて保育需要を満たす環境づくりの必要性を強く感じるとともに、行政の責任の重さを感じたところでございます。 以上で1回目の質問とさせていただきます。 ○副議長(小林弘明) 伊佐治こども部長。 ◎こども部長(伊佐治裕子) 〔登壇〕 今後の待機児童の見通しについてお答えをいたします。 ただいま議員からもご紹介をいただきましたけれども、大変大勢の方に入園をお待ちいただいていることについて、大変心苦しく思っているところです。 そこで、今後の見通しについてです。3歳以上児については少子化と連動する形で入園希望者が減少していきますが、3歳未満児については、松本地域における堅調な雇用情勢や有配偶女性の就職率が増加傾向にあることなどから、入園希望者は当面の間増加し続けると見ています。このため、待機児童はより多くの保育士を手だてしなくてはならない3歳未満児で引き続き発生するものと予想しており、2021年4月に待機児童が解消することを目指して、現在さまざまな対応策に取り組んでいるところでございます。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 犬飼信雄議員。 ◆16番(犬飼信雄) 〔登壇〕 1回目の答弁をいただきました。 今後の見通しでは、待機児童は3歳未満児で引き続き発生するものと予想されると答弁いただきました。また、本年も一定の待機児童と潜在的待機児童が見込まれるとのことで、入園を希望している保護者の皆様はさぞかし不安であろうとおもんぱかっています。 それでは、2回目、待機児童解消策について伺います。 昨年の答弁でも、待機児童解消に向けてスピード感を持って、中期・長期に分けて対策を講じると答弁をいただきました。それぞれ取り組みをされていることと考えますが、新聞報道によれば、保育士の事務量軽減策としてICTを活用した事例が紹介されていました。報道された記事の内容は、8月から10月まで実施し、学年ごとに部屋の入り口に置いたタブレットに表示される名前にタッチすると園児の登園・降園の時刻が記録される、保護者のスマートフォンに専用アプリを入れ、休みなどの連絡を園にすることができるほか、延長保育の時間や料金の管理、写真の注文・配布や集金など、保育士の業務が省力化できるか実験中とし、あわせて、保護者の意見も調整し、今後の導入を検討するとの内容でありました。 そこで、紹介させていただいた事例の評価と、今後、本市においてもICTを活用していく考えはあるか、お伺いします。あわせて、現在進めている待機児童解消策の取り組みについても伺います。 以上で2回目の質問といたします。 ○副議長(小林弘明) 伊佐治こども部長。 ◎こども部長(伊佐治裕子) 2点のご質問にお答えいたします。 まず、ICTの活用についてですが、昨年度、正規・嘱託保育士を対象に実施した実態調査において、時間内に業務が終わらない原因の一つにパソコン台数の不足がありましたことから、業務負担軽減のためのICTシステムの導入とあわせ、これまで検討を重ねてまいりました。具体的には、先ほどもご紹介いただきましたが、本年8月から10月までさくら保育園において実証実験を実施したほか、業者からシステム機能等について情報提供を受けるなど調査研究を進めてきたところです。 実証実験の結果から、児童の登降園、延長保育時間の管理や指導計画、日誌、要録などの書類作成が効率的に行えるとともに、保護者との連絡もスムーズに行え、追加配備する端末を利用して園だより、クラスだより等の作成も効率的に行えることが明らかになりました。保育士1人当たり月17時間程度の事務量の軽減が見込まれ、大きな効果があるものと評価しております。このため、平成31年度当初予算に導入経費を計上していく予定です。 続いて、現在進めております待機児童解消策の取り組みについて申し上げます。 これまで、公立保育園における施設整備や企業主導型保育事業への支援などのほか、正規保育士の増員、嘱託保育士の処遇改善などを進めた結果、嘱託保育士の離職率がこの2年間改善するなど、一定の成果が出てきております。 このような取り組みを継続して進めるとともに、平成31年度以降は市の認可による地域型保育事業として、民設民営による3歳未満児専用の保育施設の整備や私立幼稚園の認定こども園化への支援等を進め、2021年4月までに3歳未満児の受け入れ枠を公立・民間合わせて240名ほど拡大する計画としております。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 犬飼信雄議員。 ◆16番(犬飼信雄) 〔登壇〕 2回目の答弁をいただきました。 月17時間程度、事務量軽減が見込まれるため、来年度当初予算に計上するということで、期待いたします。さまざまな待機児童解消策を進める中、一定の成果も出ているとともに、3歳未満児受け入れ枠を240名ほどに拡大するとのことで、大いに評価したいと思います。また、先輩の保育士がよく話していました、顔の見える保育の大切さについても今までどおり進める内容であり、安心しました。ぜひ、保育の質を維持する中で、保育士の事務量の軽減策に取り組まれることを期待いたします。 それでは、3回目、無償化に伴う効果と課題について伺います。 保育料無償化による財政効果について、国は2019年10月に消費税の10%への引き上げのタイミングに合わせて保育・幼児教育の無償化を実施することとしています。ここに至った経過は、皆様ご承知のとおり、当初は2020年4月実施が予定されていましたが、前倒しされ、来年10月の消費税10%への増税のタイミングに合わせて実施されることになりました。これは、消費税の引き上げによって子育て世代の消費が低迷することを恐れてのことだと言われています。 この制度のもとでは、対象世帯、ゼロ歳から2歳までの3歳未満児の場合、住民税非課税世帯、年収250万円以下で認可保育所や認定こども園などの認可施設では無償であり、認可外施設でも条件はありますが対象となると理解しています。また、3歳から5歳児についても、基本的には全世帯が対象になるとされています。 報道によりますと、この無償化をめぐり国と地方の交渉がいまだに混迷しているということでございますが、昨日決着し、年末の予算編成で決まるとのことですが、昨日までに示された内容は、地方側は8,000億円に及ぶ費用を国が原則全額負担するべきとしていますが、団体によって次に述べるような温度差が生じています。 政府は、初年度のみ国が全額負担する、翌年度からは地方も費用負担する、認可外施設も対象にする。全国市長会では、費用は全額国費で負担する、認可外施設は安全性に責任が持てないので対象外とすべき。全国町村会は、公立施設の町村全額負担は絶対に容認できない。全国知事会は、国と市町村の隔たりが大きい、政府が善処すべきだ。このように隔たりがあり、着地点を見出せない状況でしたが、けさの報道によれば、地方側が一部負担を受け入れて決着したと伝えております。内容は、国が地方負担1,000億円軽減を示したとされています。 そこで、旧制度のもとでも、けさの報道の制度でも構いませんが、本年12月1日現在、園児数や保護者年収など保育環境を同様で試算し、比較した結果、市の負担はどうなるか伺います。 なお、12月7日の報道によりますと、伊那市では半年で1億2,000万円が市の持ち出しだとして発表されたことも申し添えます。 以上で2回目の質問といたします。 ○副議長(小林弘明) 伊佐治こども部長。 ◎こども部長(伊佐治裕子) それでは、幼児教育無償化による影響額の試算についてお答えをいたします。 先ほどもご紹介いただきましたが、けさの新聞報道では、国の案に反対していた全国市長会が国との交渉を終わりまして、受け入れることを表明したとあります。その受け入れをした負担割合での試算を申し上げたいと思います。 まず、本市の保育料に係る負担額は総額でおよそ9億9,000万円となる見込みです。内訳を申し上げますと、公立保育園及び公立幼稚園分は無償化の全額が市の負担となりまして、7億6,100万円程度となります。また、私立保育園、認定こども園分は4分の1が市の負担となり、2,500万円程度を見込んでおります。 次に、私立の幼稚園、それから認可外保育園などですが、それぞれ無償化の4分の1が市の負担となります。負担額は最大で2億700万円程度を見込んでおります。 また、これらに加えて、業務システムの改修等の費用も必要となる見込みです。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 犬飼信雄議員。 ◆16番(犬飼信雄) 〔登壇〕 慌てておりまして、少し質問が通告と違う内容になりましたが、ただいま答弁いただく中で、市の持ち出し分が約10億円と、これには本当に驚きを感じました。確かに、次世代を担う子供たちのために無償化は私も必要だと考えています。しかし、このような地方への押しつけは、何が地方創生かと言いたいくらいでございます。これこそ国のいいとこどりとしか思えない内容で、残念でなりません。 それでは、気を取り直しまして次の質問をさせていただきます。 松本城南・西外堀復元事業について。 この件につきましても、昨日、青木 崇議員の質問に答弁をいただいている項目もありますが、私なりにアレンジいたしまして質問させていただきます。 1回目は、事業確認について伺います。 松本市のシンボル、国宝松本城は松本市民の誇りであり、心のよりどころでもあります。明治維新、戊辰戦争、廃藩置県の荒波の中、数多くの名城が失われる中、松本城のたどった歴史も平坦ではありませんでした。それでも市川量造先生、小林有也先生のおかげで売却、倒壊を免れ、戦後も歴代市長が松本城を往時の姿に復元することに情熱を燃やし、降旗市政のもとでは黒門が復元され、和合市政のもとでは黒門枡形が整備され、有賀市政のもとでは太鼓門及び同枡形が復元され、菅谷市政のもとにおける南・西外堀復元事業はその集大成とも位置づけられると考えています。 しかし、当該事業を進める過程で土壌汚染調査を実施したところ、自然由来、つまり誰かが手を加えたのではない、もともとの鉛やその化合物によって汚染されていることが判明しました。そこで、平成30年1月から3月にかけて、汚染範囲の確認のため23地点で調査をしたところ、8地点で自然由来と推測される鉛及びその化合物による土壌汚染が判明するに至りました。 土壌汚染については、その原因が自然由来であるか人為的な行為によるものかにかかわらず、汚染土壌の取り扱いについて、搬出や運搬、処理に当たっては土壌汚染対策法に基づく対応が求められています。また、民法上の解釈によりますと、隠れたる瑕疵がある場合は、汚染除去に関する費用が発生した場合、売り主に過失がなくても費用を負担しなくてはならないことになっており、このケースでは概算で4億6,000万円かかることになり、費用負担を伴う用地買収に地権者が応じなくなることや、市が撤去費用を負担することは不適切な支出になることから、堀の復元を見直し、堀の範囲を平面で整備するという方針転換がなされています。 この方針転換については、7月の議員協議会で熟議を重ねに重ねた結果、議会として方針転換を了承した経過があります。しかし、10月17日に大手公民館で開催された地元説明会では、外堀復元見直しに不満が続出したことが新聞報道されています。そして、現在も事業に協力して転居を決断した人たちの気持ちを考えるともっと丁寧に説明すべきだとか、少しばかりのリスクを背負っても当初の計画どおり責任を持ってやるべきだ、汚染土壌の撤去費用は行政が負担すべきだなどの声があるのが現状です。 先ほども申し上げましたが、議会としても熟議を重ねて了承した件であり、その決定に責任を持つ立場から確認の意味で、寄せられている疑問について、次の4点について改めてわかりやすく説明をしていただきたい。 1点目、なぜ外堀の復元から、堀の形状がわかる形での平面整備に方針を変更しなくてはならないのか。 2点目、市が撤去費用を負担してでも最初に決めた外堀の復元をすべきでは。市長が決断すればよいのではないか。 3点目、地権者に対して、汚染土壌の撤去について真剣にお願いしたのか。 4点目、南・西外堀の復元はどういう条件が整えばできるのか。 以上4点の説明を求め、1回目の質問といたします。 ○副議長(小林弘明) 矢久保教育部長。 ◎教育部長(矢久保学) 4点のご質問に対し、私からは3点についてお答えいたします。 まず、外堀の復元から平面整備に方針を変更した理由でございますが、汚染範囲内の土壌を掘削して搬出する場合、土壌汚染対策法に基づく処理が必要となり、その費用として概算で4億6,000万円以上の経費が必要となります。事業用地は市が取得した土地でありますことから、汚染土壌処理費用は土地取得時の契約に基づき、前の土地所有者にご負担をお願いすべきものであり、市が負担することは適切ではないと判断いたしました。 一方で、現在、事業用地の取得を進めておりますことから、土壌汚染対策費用を前の土地所有者にご負担いただくことは現実的に困難であり、事業が中断するおそれがございます。 このように、事業用地を堀に復元する際の掘削により生ずる土壌汚染の処理費用の扱いが問題となりますことから、これを解決するため、掘削を伴わない、往時の堀の範囲を示す平面的な整備に方針を転換せざるを得ないと判断するに至ったものでございます。 次に、市が汚染土壌処理費を負担することにつきましてお答えいたします。 土壌汚染調査結果を踏まえまして、汚染土壌処理費用を市が負担することを検討してまいりましたが、不適切な公金支出である可能性が高いという法的な課題であり、政治的な課題であるとは考えておりません。 3点目の南・西外堀の復元が可能となる条件についてお答えいたします。 事業用地内の土壌汚染が課題となっておりますが、土壌汚染対策法では土壌汚染による健康被害の防止等に関する措置を定め、国民の健康を保護することを目的としておりますことから、基準値の緩和等、法の趣旨にかかわる改正は難しいと考えております。 汚染土壌処理費用を公費負担できないことが課題となっていることにつきましては、市の公費でない財源を確保できれば解決することが可能であると考えております。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 百瀬城下町整備本部長。 ◎城下町整備本部長(百瀬雅仁) 土地所有者に対する汚染土壌の撤去に関するご質問にお答えいたします。 土地所有者に対しましては、土壌汚染対策法に基づく土壌汚染調査の結果が出た後、調査結果と課題について詳しく説明を申し上げ、話し合いをしてまいりました。 具体的には、1回目のボーリング調査実施後、調査結果とさらなる詳細な調査が必要になったこと、及び土地所有者の責任について説明いたしました。さらに、2回目のボーリング調査実施後にも調査結果をお話しするとともに、自然由来の汚染であっても土地所有者が撤去する責任があることを再度説明し、汚染土壌の撤去についてお願いしてまいりました。 また、このほかにも、土地所有者に何度もお会いし、事業の重要性や土壌汚染対策法の趣旨も説明しながら、南・西外堀の復元に向けて、汚染土壌の撤去を重ねてお願いしてまいりました。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 犬飼信雄議員。 ◆16番(犬飼信雄) 〔登壇〕 2回目は、事業提案について伺います。 1回目では、議員協議会で熟議を重ねた内容を確認の意味で質問させていただきました。土壌汚染対策法及び民法の壁があって、法改正がなされなければ堀の復元は困難であることは十分承知しておりますが、しかしながら、開発の過程で想定外の汚染がこれまでに市が実施した事業の中でも複数回発見されており、他都市でも同様の事案が起きていることから、深刻な汚染は別として、基準値をわずかに上回る程度の汚染土壌の取り扱いの緩和についての法改正を粘り強く求め続けていっていただきたいと考えます。 今回のケースは、明治維新で堀が埋められて、その後150年が経過したというものであり、化学物質が入り込む余地がなく、まさに想定外の土壌汚染であり、議会もベターな選択として平面整備を了承してきています。この問題は、市のやり方を批判して、公費負担について市長の決断を促すことにとどまっていてはらちが明かない。事業の進展はない。議会も市民も一体となって、どうすればこの問題を解決できるのか一緒に考える必要があります。 そこで、何らかの打開策をみんなで考え、市に提案していくことが大切だと考えます。市当局におかれましては、提案された場合には真摯に検討し、堀の復元に向けて考えていただきたいと思います。 そこで、3点の提案をさせていただきます。 1点目、堀の底に汚染物質がたまっているとのことですので、堀は深く掘らずに浅い堀にして景観を確保し、水質についても念のため定期的に検査をしてはどうか。 2点目、土壌汚染対策法では事業用地内での土の入れかえが認められているので、汚染土壌と汚染されていない土壌を入れかえ、汚染土壌については上部をコンクリートなどで密封して、汚染が他に影響しない方法はとれないか。 3点目、市の公金支出が不適切であることを考慮し、土壌汚染の対策費用を寄附金等で募る。この関係についてはいろんなところでも提案がありましたが、あえてさせていただきます。地権者にも無理のない範囲での負担をいただくなどとして対応できないか。 以上3点についての見解を伺います。 ○副議長(小林弘明) 矢久保教育部長。 ◎教育部長(矢久保学) 3点のご提案のうち、まず、堀を浅い堀として復元するご提案についてお答えいたします。 南・西外堀復元事業は、往時の堀の姿に復元することを目標として進めてまいりました。市民の多くの皆様が思い描いていた復元後の堀の姿も同様であると思います。したがいまして、浅い堀とすることが文化財的にも望ましい復元と言えるのかが課題になると考えております。 また、浅い堀として復元し、将来的に本来の深さに完全復元することとなった場合には、二重投資となる可能性もございます。 なお、浅い堀として復元する際には、土壌汚染処理費用が生ずる可能性がございますので、その場合には先ほど申し上げましたとおり市の公費負担ができません。これらのことを検討いたしますと、浅い堀として復元することは困難であると考えております。 次に、事業用地内の土壌を入れかえる方法のご提案でございますが、土壌汚染対策法では、適切な手順を踏んだ上で、同一事業地内で汚染のない範囲をあらかじめ深く掘り下げ、そこに汚染範囲の土を埋めることは可能とされております。 この方法を実施する場合には、汚染のない範囲が土壌汚染範囲として拡大することや、その経費や汚染拡大防止措置が土壌汚染の対策費用に当たる場合がございます。その際は公費負担ができません。 3点目の土壌汚染対策費用を寄附金等で募ることにつきましては、可能であると考えております。ただ、現実的には、金額が大きいことが実施に当たっての課題となることが想定されます。また、土地所有者に負担を求めることは、先ほど申し上げた経過から見て難しいものと思われます。 犬飼信雄議員からは幾つかのご提案をいただき、ありがとうございます。しかし、なかなか困難な課題が多いことが現状でございます。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 犬飼信雄議員。 ◆16番(犬飼信雄) 〔登壇〕 それぞれ答弁いただきました。 3点とも一長一短はある中、難しい法的な背景があり、実施することは困難であるとのことで、残念でありますが現状ではいたし方ないかと理解いたします。 続きまして、3回目の質問をさせていただきます。 松本城南・西外堀の整備については、現時点では平面整備がベターな選択であり、本事業の目的である史跡の保全、景観の整備、危機管理環境の向上については合致していると考えます。 そこで、将来の堀の完全復元が実現するまでの間は、平面整備された堀を最大限に活用していくことが必要と考えますが、市の見解を伺います。また、この事業に寄せる市長の思いがあればお聞かせ願います。 以上で3回目の質問とさせていただきます。 ○副議長(小林弘明) 菅谷市長。 ◎市長(菅谷昭) 3回目のご質問であります、南・西外堀復元事業に寄せる私の思いについてお答えいたします。 私は、事業用地内で確認された土壌汚染の結果に直面し、事業自体が中断するおそれもある中、事業用地の取得を初めとする本事業を継続するため、断腸の思いで堀復元から、将来の堀の復元の可能性を残しながら当面のベターな方策として平面整備へと事業方針を変更することを決断いたしました。これに伴い、特に地権者の皆様にはご迷惑をおかけしていますことを大変心苦しく思っております。 この方針変更について、本年7月10日の議員協議会に協議申し上げて以降、市議会議員並びに市民の皆様からさまざまなご意見をお伺いいたしました。とりわけ、ただいまお話ありましたが、本来の堀復元を何とか実現できないかとの多くのご意見を頂戴いたしました。私といたしましても、皆様と同様、堀を復元したいという思いに変わりはありません。 そこで、現時点では事業を継続実施するため、まずは平面整備により史跡の保全を図ることとし、水をたたえた本来の堀の姿に復元することを次に実現すべき課題としたことにご理解をいただきたいと思います。 今後も皆様の思いやご意見を真摯に受けとめ、事業の円滑な推進に努めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 矢久保教育部長。 ◎教育部長(矢久保学) 平面整備された堀を最大限活用する件についてお答えいたします。 事業用地は史跡に指定されていますことから、その保存が整備や活用に当たっての前提となり、一定の制約が生じます。このため、まずは史跡整備としてどのようなものが必要となるのか、また、史跡としての制約にはどのようなものがあるのかなどを有識者から成る史跡松本城整備研究会や文化庁と協議しながら検討する必要があると考えております。 なお、平面整備やその活用につきましては、今後検討していく段階にはございますが、平面整備後、仮にイベントや公園としての活用が定着いたしますと、将来的に堀として完全復元することになった場合にそのあり方が課題となることも想定されますので、それらも含め、今後慎重に検討してまいります。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 犬飼信雄議員。 ◆16番(犬飼信雄) 〔登壇〕 それぞれ答弁をいただきました。 部長からは、事業用地は一定の制約があると。しかし、有識者から成る史跡松本城整備研究会や文化庁とも協議しながら検討をしていくと。ただ、平面整備後の活用が定着すると諸問題も生じるが、慎重に取り扱うということですので、ぜひいろんな角度から研究する中で、市民に喜ばれる整備になることを期待いたします。 市長からは、議員協議会の冒頭でも述べられたことが前半述べられました。本当に断腸の思いでの整備方針の変更、そして地権者に対するおわび--ここまでは井口議員や宮下議員に答弁した内容とほぼ同じではないかと思っておりますが、その後、7月10日の議員協議会以降においては、市民の皆様からもさまざまな意見を聞いている、議会からも聞いているという中で、皆様と同様に堀を復元したいという思いに変わりはないと言われました。 また、現時点ではということで、まずは平面整備により史跡の保全を図ると。水をたたえた本来の堀の姿に復元することは次に実現すべき課題であると答弁いただきました。この答弁は、市民の皆様の思いと同じ気持ちを伝えようとする答弁と受けとめますが、法を超えられる発言の難しさも感じられました。 そこで、私が市長にかわり、断言したいと思います。近い将来、松本城の堀が法を必ず超えるときが来て、水をたたえたすばらしい堀になることを申し添え、この質問を終わりにさせていただきます。 続きまして、まちづくりについての1回目の質問をさせていただきます。 緑と水によるヒートアイランド対策について伺います。 日本は温帯に属していると学校で習いましたが、ここ数年の夏の暑さは亜熱帯に属していると書きかえなければならないほどです。特にことしは経験したことのないほどの異常な暑さが続き、梅雨明けの7月1日から8月14日までの45日間で、最高気温が30度を超える真夏日でなかったのが東京で7日、名古屋で4日しかありませんでした。松本市でもことしの夏はシーズンを通じて真夏日が64日、最高気温が35度を超える猛暑日も何と19日間を記録し、避暑地を返上しなくてはならないほどの暑さでした。 地球温暖化は今世紀最大の環境問題であり、国際的な取り組みが必要です。自治体にも独自の取り組みが求められています。松本市でも松本市地球温暖化対策実行計画が発表され、具体的に取り組まれています。地球温暖化対策に資するヒートアイランド対策も極めて重要だと考えています。 ヒートアイランド対策と地球温暖化対策の両方に効果がある手法として、町なかの緑化推進が有効だと言われています。東京オリンピック・パラリンピックの開催が猛暑の7月ということもあって、猛暑対策が喫緊の課題となっていることは周知のとおりで、東京では緑化した通路、吸水性・保水性があるペーブメント舗装とし、さらに微細な霧によって温度を下げるミスト装置の設置などありとあらゆる暑さ対策が実施されるとのことですが、私は、松本市におけるヒートアイランド対策のキーワードも緑と水ではないかと考えております。 そんな折、市長は記者会見で、ことしの猛暑について、今後行政として根本的な対策、治療を考えていかないといけないとの発言をされていますが、その発言の趣旨と、緑と水によるヒートアイランド対策の考えを伺います。 以上で1回目の質問といたします。 ○副議長(小林弘明) 菅谷市長。 ◎市長(菅谷昭) 記者会見で述べました猛暑に関する私の発言についてお答えいたします。 本年8月6日の記者会見において、ことしの夏に言われておりました危険な暑さの要因とも言える地球温暖化問題に対し、私は医療で言うところの単に症状に対し加療する、いわゆる治療を加える、対症療法だけではなく、原因を突きとめた上できちんと治療する根治療法も考えていかなければいけないと申し上げました。 夏の猛暑などから人命や財産を守るためには、本定例会でも取り上げております小・中学校へのエアコン導入などの熱中症対策を初め、農業対策や災害対策、生物多様性などの環境対策などを進める必要がありますが、これらはいずれも対症療法にすぎないのであります。一方、これに対して、根治療法として考えられることといたしましては、一番の要因である温室効果ガス排出量を大幅に削減することであり、ライフスタイルやビジネススタイルを大きく転換することが不可欠であると考えております。 そこで、このためにはこれまでの省エネルギー施策の延長線上から大きく一歩歩み出す必要があり、市が率先して温暖化対策に取り組むとともに、市民や事業者の進むべき道を示していくことが重要であるという、そういう思いから申し上げたものでございます。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 小出建設部長。 ◎建設部長(小出光男) 市長答弁に引き続きまして、私から緑と水によるヒートアイランド対策についてお答えします。 議員ご指摘のとおり、地球温暖化や猛暑対策として、町なかの公共空間に水の流れや樹木の緑陰を多くふやすことは、温熱環境を改善するとともに憩いの場としてのまちのにぎわいに寄与する効果が高いと考えております。 平成27年3月に改訂しました松本市緑の基本計画においては、心の潤いと豊かさを感じられる社会を目指し、市民との協働による水と緑のまちづくりを進めるため、命や心を育むさまざまな取り組みを行っていくこととしております。市内エリアごとのコンセプトを持ちながら、例えば中心市街地においては、点在する井戸や小公園、オープンスペースなどに水や緑のほかベンチなどを一体的に配置するなど、ヒートアイランドにも効果を生む整備を行ってまいりました。今後も、道路や河川などの公共空間に市民との協働により花や緑をふやす花いっぱい運動などの取り組みに加え、道路協力団体制度といった新たな手法を活用しながら水と緑のまちづくりを推進してまいります。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 犬飼信雄議員。 ◆16番(犬飼信雄) 〔登壇〕 2回目の質問の前に、今の答弁について思いを述べさせていただきます。 市長からは医療者の市長の答弁らしく、対症療法と根治療法に例えた思いがよくわかりました。市民や事業者に進むべき道を示し、市が率先して温暖化対策に取り組んでいただくとのことでございますので、期待したいと思います。 部長からも、さまざまなヒートアイランドにも効果を生む整備を行ってきたと。今後も道路や河川などの公共空間で市民との協働により花いっぱい運動などに取り組み、道路協力団体制度という新たな手法を活用しながら水と緑のまちづくりを推進していくとの答弁がありましたので、これについてもご期待申し上げたいと存じます。 それでは、2回目、松本駅前のまちづくりについて伺います。 市長の駅前ビジョンについて伺います。 私の知人に、転勤でこの春首都圏に引っ越しした方がいます。11月の3連休を利用して、高校生になった息子さんと松本にやってきました。2人は松本駅の階段をおり、駅前広場で全く同じ行動をとったそうです。それは、胸いっぱい空気を吸うことだったそうです。山高く、水清く、風光るまち・松本。美しい、おいしい空気はこのまちを訪れる人へ大きな感動を与えていることを再確認し、うれしく思った次第であります。よどんだ空気の中で暮らす人たちにとって、信州松本とはある意味憧れの地であり、私たちはその期待を裏切らないように努める責務があると考えています。 話は変わりますが、9月15日に亡くなられた女優の樹木希林さんをしのんで、菅谷市長は樹木さんが平成26年に松本を訪れた際、駅をおりたときの景色に他の都市同様に「らしさ」がないなどと指摘され、細やかな気遣いをする人、一方で鋭い人だったと回想しております。樹木さんの指摘は、どこのまちへ行っても、駅頭に立っても金太郎あめのような駅前で、その都市らしさが感じられないという指摘だと受けとめています。 市長は松本駅前についてどのようなビジョンをお持ちか、伺いたいと思います。 なお、3回目を予定していましたが、持ち時間の関係が来ておりますので、3回目は次の機会に譲りまして、以上で私の質問の全てを終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。 ○副議長(小林弘明) 菅谷市長。 ◎市長(菅谷昭) それでは、駅前のまちづくりについてお答えいたします。 私は、松本市を訪れる多くの皆様から、松本はきれいなまちですねという声をたびたびいただいております。これは、中心市街地の再開発によって一定のファサード整備が行われたことに加え、特に市民の皆様のまちに対する愛着と清掃活動などによるたまものと、日ごろのご活動に感謝を申し上げるところでございます。しかしながら、一方で、松本駅におり立った際に目に入る駅前の看板などが良好な景観を阻害し、松本らしさがないとのご指摘につながっていることも事実であります。 松本市の景観形成の方針につきましては松本市景観計画の基本理念に定めておりますが、大切にすべき景観として、自然的な景観、歴史的な景観、そして人々が集う広域拠点としての都市的な景観のあり方を捉えた景観形成を図っていくことが必要であると考えております。 特に松本駅前につきましては、3ガク都にふさわしい玄関口となるよう、山並み景観とマッチした松本らしい景観形成の実現について、引き続き市民の皆様とともに進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 以上で犬飼信雄議員の質問は終結いたします。犬飼議員は自席へお戻りください。 暫時休憩いたします。 再開は午後3時10分といたします。                              午後2時44分休憩                              ---------                              午後3時10分再開 ○副議長(小林弘明) 休憩前に引き続き会議を開きます。 市政一般に対する質問を続行いたします。 18番 阿部功祐議員の質問を行います。阿部議員は質問者待機席へ移動してください。 18番 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 発言の機会をいただきました。会派誠の会を代表し、若林真一議員、犬飼信雄議員に続きまして、通告に従い、私は一問一答方式にて私見を交え質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。 早速、質問に入ります。 まず、受動喫煙防止対策についてであります。 松本市では、平成25年3月から受動喫煙防止対策として「タバコと向き合う松本スタイル~当たり前の禁煙へ~」に取り組んできました。平成25年5月には松本市受動喫煙防止対策推進協議会の設立、その後、12月にはJR松本駅お城口広場へ「さわやか空気思いやりエリア」が設定されるなどの取り組みがされてきております。本年7月に健康増進法の一部を改正する法律が公布され、受動喫煙防止対策として、関係する条例の制定を現在進めているところであります。 受動喫煙は健康に悪影響を与えることが科学的にも明らかにされており、受動喫煙による死亡者数が年間で約1万5,000人、受動喫煙による医療費が約3,200億円に上ると国の推計も出されております。このようなことからも、望まない受動喫煙の対策は、健康増進法の一部改正を機に、健康寿命延伸都市を標榜する松本市として受動喫煙の防止対策を一層推進し、市民の健康を守ることになると思うところであります。 そこで、まず、現在受動喫煙防止に関する条例制定に向けて取り組んでいるところでございますが、市長の思いについてお伺いをいたします。 ○副議長(小林弘明) 菅谷市長。
    ◎市長(菅谷昭) 〔登壇〕 阿部議員の条例制定に向けての思いについてのお尋ねにお答えいたします。 私は、就任当初から健康づくり、子育て支援、危機管理の3Kプランや健康寿命延伸都市・松本の創造を将来の目指すべき都市像として掲げ、命や健康を守ることを第一義として市政運営に邁進してまいりました。その一環として、平成25年に基本指針「タバコと向き合う松本スタイル~当たり前の禁煙へ~」を策定し、禁煙区域モデル地区「さわやか空気思いやりエリア」の設定や市内小・中学校の敷地内全面禁煙の実施など、市民モラルに基づく松本らしい受動喫煙防止対策を進めてきました。 ご案内のとおり、喫煙はがん、循環器疾患、糖尿病などあらゆる生活習慣病を発症する主要なリスク要因であり、本人のみならず周囲にも悪影響を及ぼすものであります。現在の市民モラルに頼る受動喫煙防止対策の手法では抜本的な対策とは言えず、限界がある中で、改めて喫煙による疾病等の医療費の増加並びに未来を担う子供たちへの受動喫煙の影響などを深刻に捉え、このたびより一層の受動喫煙防止対策が必要であると考えました。 また、ことし7月には、先ほどお話ございましたが健康増進法の一部を改正する法律が公布され、望まない受動喫煙をなくすことや、受動喫煙を受けやすい子供や患者等に特に配慮することを趣旨として、病院、学校、行政機関などは原則敷地内禁煙、そのほかの多くの人が集まる事業所や飲食店などは原則屋内禁煙とするなど、国を挙げて対策が進められております。 私といたしましては、歩きたばこなどを規制するだけでなく、市民の皆さんが受動喫煙による健康に及ぼす害について正しく理解した上で、吸う人、吸わない人がお互いを尊重し合い、お互いの立場をわきまえることが肝要と考えております。そして、受動喫煙を生じさせないまち・松本の創生がいいまち・松本、品格のある美しいまちづくりにつながるため、私の強い思いとして、条例に基づく新たな受動喫煙防止対策を進めることが必要であるとの考えに至りました。 いつまでも健康であり続けることは市民の願いであります。松本から発信する受動喫煙のない美しいまちづくりを進め、子供たちが健やかに育つ環境をつくり、子供たちが将来このまちに生まれてよかったと誇れる松本市を目指し、市民の皆さんとともに取り組んでまいります。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 一層の受動喫煙防止対策に取り組んでいくという市長の強い思いをお伺いいたしました。 健康増進法の改正の趣旨では、望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の者が利用する施設等の区分に応じて当該施設の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、当該施設等の管理について権限を有する者が講ずべき措置について定めるというふうにしておりまして、その基本的な考え方を、望まない受動喫煙をなくす、受動喫煙による健康への影響が大きい子供、患者等に特に配慮、施設の類型・場所ごとに対策を実施としております。 加えまして、受動喫煙が他人に与える健康被害等から鑑みて、望まない受動喫煙を防止することが自治体に求められていること、また、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い増加が見込まれる外国人観光客への安全と健康対策を検討する必要があることなどから、受動喫煙に関する共通認識を広め、望まない受動喫煙を防ぐ措置を講じていかなければとの目的であるものとしております。 2020年東京五輪に続く2024年夏季五輪の開催地はパリであります。平成25年度に全国市議会議長会主催のヨーロッパ視察へ犬飼信雄議員とともに参加をさせていただきましたが、フランス・パリのまちへ行ったときのことを思い出しました。飲食店やホテルはもちろん禁煙でありました。しかし、外、つまりドア1枚外は喫煙オーケーであり、店舗やホテルの前などで喫煙をしている人を多く目にしました。加えて、吸い殻はその場にポイ捨てしてもいいということになっており、これは朝などにまちの清掃があり、清掃業務の雇用があるためであるなどの理由があることをお聞きしました。この点は、国が変われば違いの大きさに驚いた点でありまして、加えて、たばこのないオリンピックの推進を求めている点で、今後パリのまちはどうなるだろうと心配もしているところであります。 先ほど市長の答弁では、条例に基づく新たな受動喫煙防止対策を進めることの強い思いを伺ったところでありますが、受動喫煙のない美しいまちづくりも進めていくということもございました。 そこで質問をいたしますが、今回制定を目指している受動喫煙防止対策の条例のポイントについてお伺いをいたします。 ○副議長(小林弘明) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 ただいま議員からご紹介がありましたとおり、健康増進法の改正により飲食店などが原則屋内禁煙となることに伴い、屋外における受動喫煙防止対策が必要であることを踏まえ、本市では、まず1つといたしまして市が所管する公共施設の敷地内禁煙、2つ目といたしまして市街地における受動喫煙防止区域の設定、歩きたばこの禁止などの路上喫煙対策、3つ目として受動喫煙による健康被害を受けやすい子供や病気の方などを守るための対策の3点を取り組み方針としてお示しいたしました。 これらの対策を市民の皆さんとともに進めるため、市が市民の皆さんに対する受動喫煙防止の総合的施策を行うこと、さらには市民、事業者の皆さんに施策に協力いただくことを盛り込んでおります。 そのことを具体的に申し上げますと、市街地における対策として、市民の皆さんには公共の場における歩きたばこの禁止や路上等での喫煙について周囲へ配慮すること、また、事業者の皆さんには路上付近での灰皿の撤去や移設など環境整備の配慮をお願いすることとしております。さらに、これまで「さわやか空気思いやりエリア」として禁煙区域を設けておりましたが、新たに受動喫煙防止区域として条例に位置づけ、区域内を禁煙といたします。具体的には、受動喫煙防止区域は市街地の道路、市が所管する公共施設、学校、病院などを想定し、別途、規則などで定めていきたいと考えております。 また、違反者については指導を行うこととし、特に過料などは設けていない形で提案をしております。 また、条例で規定するたばこの定義については、たばこ事業法に規定するたばこ製品と、紙巻たばこより有害性は低いもののニコチンなどの有害物質が含まれている加熱式たばこも含めることを考えております。 以上です。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 ポイントについてお聞きをしましたが、罰則の関係について次に質問をしますが、今、答弁の中で違反者については指導を行うということで、特に過料などを設けていないという形での提案だということでございました。そういうところで、指導をしていくということでありますが、他市の受動喫煙防止の条例化を見ますと、本市のように条例化を目指して取り組みをしているところ、あるいはもう既に条例化をしているところがある一方で、いわゆるポイ捨て条例の中に組み込むという形のところもあります。 県内では、長野市は長野市ポイ捨て、道路等における喫煙等を防止し、きれいなまちをつくる条例があり、条例の内容は歩行喫煙等の禁止、灰皿がない場所や携帯灰皿のない場合の喫煙の禁止となっており、罰則を設けており、重点地区による罰則となっていますが、現在、その重点地区の指定は行っていない状況であります。また、他市の状況では、お隣の高山市は路上喫煙禁止区域の設定があり、罰則はありということで、また、甲府市は路上喫煙禁止区域の設定があり、罰則はなしと、こういった状況であり、罰則については設けているところ、いないところ、それぞれであります。 そして、松本市では松本市ポイ捨て防止等及び環境美化に関する条例がありますが、この13条に、市民等は、たばこの吸い殻のポイ捨てを防止するため、灰皿等のたばこの吸い殻を収納する容器が設置されている場所での喫煙に努めなければならないとされており、また22条には罰則があり、ポイ捨てに関しては5万円以下の過料ということになっております。 たばこのポイ捨て、せんだって行われましたまつもと子ども未来委員会の提言でも、やはりたばこの吸い殻が多いというような指摘があり、市長にも提言をされたところでありまして、今後、このポイ捨て条例の関係もまた強化していかなければいけないのかなというふうに思っているところであります。 こういったところで、質問でありますが、罰則については、市民の代表による会議の場では議論がされ、さまざまな意見が出たというふうに聞いておりますが、その意見の概要に加えまして、罰則について、現在の案では指導のみであり罰則を設けていませんが、そのことについての見解をお伺いいたします。 ○副議長(小林弘明) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 罰則規定につきましては、他市の路上喫煙防止条例などを参考にしてみますと、3通りの方法があり、その1つとして過料等を設けていない場合、2つ目として指導、勧告、命令等を行い、それでも守らない場合に過料を徴収する場合、3つ目として巡視員等を設け、禁煙区域での喫煙があった場合にその場で過料を徴収する場合となっています。 先ほど市長答弁にもありましたとおり、今回の条例は規制ありきではなく、市民の皆さんとともに健康増進を目的とした受動喫煙防止対策を進めることに主眼を置いており、罰則などではなく適切に指導を行い、理解してもらう形が望ましいと判断し、今回の提案に至りました。 骨子案を皆さんにお示しするに当たり、事前に市民委員等によるたばこ対策推進協議会を立ち上げ、それぞれの専門家の皆さんにご意見を伺いましたところ、大きく二通りの意見に分かれました。1つは、これまでの市民モラルに基づく形を継承して罰則がないほうがよいという意見、2つ目は、ある程度の抑止力の点から指導、勧告、命令の段階を経て注意し、それでも守らない場合に過料を適用するのがよいという意見でございました。 本市といたしましては、まずはモラルに基づく形を継承し、条例施行後の実態を把握してまいりたいと考えております。 以上です。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 市民意見では2つの意見ということでありました。そしてまた、規制ありきではなく健康増進に主眼を置いて、これまでのモラルに基づく形を継承ということでありました。 健康増進法の一部改正では、望まない受動喫煙の防止を図るため、施設の類型・場所ごとに禁煙措置や喫煙場所の特定を行うとともに、喫煙可能な場所には掲示を義務づけることなどから、受動喫煙防止対策の対象施設においては望まない受動喫煙が生じてしまうことはなくなるとしています。 敷地内禁煙、屋内禁煙の規制が拡大をしていく、こういうふうに予想されるわけでありますが、喫煙者のマナーの向上、周りへの配慮が大切なことであると思うところでありますが、7月に公布された健康増進法の一部改正により屋内の禁煙対策が進み、路上喫煙の増加が見込まれるため、公共の場所における受動喫煙防止対策が求められております。 規制を強めていくことで路上喫煙がふえ、受動喫煙防止対策として分煙、つまり喫煙場所についても考慮をすることが必要ではないかと考えるところであります。健康増進に主眼を置いているというところからは矛盾をしているようにも感じるかもしれませんが、やはり分煙ということも大変大切な点の一つではないかと考えておりますので質問をいたしますが、規制を強化する中で公共喫煙所の設置が必要と考えるところでありますが、見解をお伺いいたします。 ○副議長(小林弘明) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 本市が目指す受動喫煙防止対策は、たばこを吸う人、吸わない人がお互いに尊重し合い、ともに取り組む受動喫煙のない、美しいまちづくりでございます。 議員のご指摘のとおり、健康増進法の改正や受動喫煙防止区域の設定により喫煙する場所が限られてくる中で、たばこを吸う方にもこの対策に理解を求めつつ受動喫煙を防ぐ観点から、受動喫煙防止区域内または周辺で、必要に応じて受動喫煙を最小限に抑えられる喫煙所の設置についても今回の骨子案に盛り込んでおります。 また、健康増進の観点から、吸う方にぜひ禁煙に取り組んでいただけるよう、引き続き禁煙への啓発活動を行いながら対策を進めていきたいと考えております。 以上です。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 答弁では、引き続き禁煙への啓発活動も行いながら対策を進めていくということでありました。 やはり分煙も進めていってほしいというふうに思うところでありまして、今、引き続き禁煙への啓発活動も行うということで、喫煙所を設定しながら、そこに喫煙所の表示ということは先ほど国のほうにもありましたが、やはり喫煙所の表示をしながら、健康増進に主眼を置くという視点も加えるならば、そういった点も、喫煙所に今後掲示されていくのかなというふうに予想をしているところでありますが、また今後検討していただきながら、しっかりした分煙にも取り組んでいただきたいことと、やはり健康増進の視点もあわせて取り組んでいってほしいなというふうに思います。 たばこをめぐる環境というのは、近年大きく変化をしていると思います。私が子供のころ、小学校、中学校時代は、教室で先生が灰皿を持ってたばこを吸うことが当たり前の状況であり、また、私が社会人1年目のときに市役所にお世話になったときにも、各机で喫煙をされている職員の皆さんも当たり前でありました。また、飛行機や電車も喫煙がオーケーでありました。その当時と比べたら、今、大きくたばこを取り巻く環境が変化するとともに、大変きれいな空気になっているということであります。 先ほどの犬飼信雄議員の駅前に関する質問もありましたが、受動喫煙の防止とあわせて、きれいな松本ということも期待をするところでありますが、今後また望まない受動喫煙防止の対策が一層進む中で、健康被害の影響がなくなることを願うとともに、また喫煙者のマナー向上にも期待しながら、この受動喫煙防止に関する質問を終わらせていただきまして、次の質問に入らせていただきます。 次に、次世代交通政策における公共交通を軸としたまちづくりについてお聞きをいたします。 先ほど、若林議員からは自転車に関する質問がありました。この点、次世代交通政策実行計画にやさしい交通としての掲載があり、今後に期待しつつ、私はバスに関する質問でありますので、自転車からバスに乗りかえていただき、次世代交通政策に関しての質問でありますので、お願いをいたします。 松本市では、去る11月21日の水曜日に、通勤時の自家用車の使用を自粛し、バスを初めとした公共交通機関や自転車、徒歩による通勤を促す平日ノーマイカーデーを初めて実施しました。私は日ごろタウンスニーカー西コースの利用をさせていただいているところでございますが、この事業に協力、経験もと思い、当日タウンスニーカーの西コースに乗り、市役所での会議に出席した後、帰りはバス乗車前、バス待ちの時間を利用して買い物もしながら、当日増便をされたタウンスニーカーで自宅に帰り、公共交通を利用したノーマイカーデーの体験をしました。 また、当日はあがたの森通りにバス専用レーンを設置し、路線バスの定時性及び速達性の検証を行ったとお聞きしております。 本定例会の開催に当たり、冒頭、菅谷市長からの提案説明にもありましたが、この平日ノーマイカーデーは初めての取り組みで、若干の混乱はあったものの、多くの企業や市民の皆様からの協力もあり、市民の関心を寄せていただいたとの発言がございました。今回の平日ノーマイカーデーでは、次世代交通の具現化に向け、新たな形で取り組まれたことに対しまして、私からも深く敬意を表するところであります。 そこで、まず初めに、今回の平日ノーマイカーデーについて、その検証結果と今後の進め方について伺います。 ○副議長(小林弘明) 小出建設部長。 ◎建設部長(小出光男) 次世代交通政策についてのご質問にお答えをします。 まず、検証結果でございますが、このたびの平日ノーマイカーデーでは多くの企業にご協力をいただき実施することができ、事前のアンケートでは約760人の方がノーマイカー通勤に取り組むとご回答をいただきました。また、バス専用レーンの設置により、路線バスは通常より定時性及び速達性の確保ができ、一定の効果を確認することができました。 その一方で、臨時のパークアンドライド駐車場は利用者が少なかったことから、設置場所や接続する公共交通機関のさらなる利便性の向上が課題であると考えております。 次に、今後の進め方ですが、アンケート調査や交通量調査の結果及び増便を含むバスの乗客数の状況などのデータを加え、詳細な検証結果を取りまとめ、課題などを整理し、次年度以降も実施する方向で検討をしてまいります。 また、今回の取り組みを踏まえ、日ごろからノーマイカー通勤を実践していただきますように、松本市ノーマイカーデー推進市民会議と連携し、あらゆる機会を捉え、市民を初め松本市周辺の市村の皆様にも積極的に周知啓発に取り組んでまいります。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 利便性の向上が課題ということでありました。そういう中で、今後も平日ノーマイカーデーを実施する方向で検討していくということもありまして、例えば月に1回ノーマイカーデーを決めて、市民の皆様に周知していくことも必要であるというふうに考えますので、また今後その辺を検討していただければというふうに思います。 また、ノーマイカーデー実施日に限らず、日ごろからノーマイカー通勤を実践していただくという考えには私も同感であります。私自身も今後、できる限り実践をしてまいりたいというふうに思うところであります。この平日ノーマイカーデーについては今後もぜひ継続していただいて、次世代交通政策の具現化に向けた取り組みを一層進めていただきたいと考えております。 さて、今回の平日ノーマイカーデーにおいても、あがたの森通りにバス専用レーンが設置され、将来的なバス専用レーン設置にはさまざまな課題があるというふうに思うところでありますが、本格的に導入となれば、現在の一般の路線バスではなくBRT、バス高速輸送システムでありますが、この導入が期待をされ、このことは松本市次世代交通政策実行計画にも位置づけられております。 昨年9月定例会において、会派で視察を行った岐阜市のBRTも参考に、軌道を必要とする次世代型の路面電車システムLRTよりもBRTの優位性を紹介し、松本市のLRT、BRTの検討状況について質問を行った経過がございます。 BRTは都市交通を軸とするため定時性、速達性にすぐれ、導入コスト、初期投資がLRTに比べて安価で路線選定の柔軟性にすぐれ、段階的な導入が可能であることに加え、輸送力は連接によりLRTに匹敵し、特殊車両による公共交通にもつながることから、BRTの推進を岐阜市で行っているとの例を出し、発言をいたしました。 その際の答弁では、現在、BRTについても他市の事例等を参考に、導入について検討しているという答弁がありましたが、そこで質問でありますが、昨年のこの質問以降、そのBRTの検討状況についてお伺いをいたします。 ○副議長(小林弘明) 小出建設部長。 ◎建設部長(小出光男) お答えします。 本年7月と11月に担当職員がBRT導入の先進都市である新潟市と福岡市を視察し、現地を確認しながら導入の経過や課題などの情報収集をしてまいりました。いずれの都市も行政と交通事業者が連携し、既存の公共交通の効率化を図りながら、定時性の高いまちのシンボル的な乗り物として導入をしておりました。その後、先進都市の事例を参考に、庁内において公共交通システムの導入に当たっての情報共有と課題整理を行いました。 その中で整理しました主な課題は3点でございまして、1つとしましては、定時性や速達性を確保するため専用車線が必要になることから道路の拡幅や自動車交通との共存を図ること、2つ目といたしましては、営業している既存のバス路線との調整が必要であること、3つ目といたしましては、BRTの整備に係る財源の確保とその運営体制の構築が必要であると、いうことを捉えております。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 新潟市、福岡市の視察を行い、3つの課題ということでございました。先進都市視察を行って、庁内で検討と主な課題を整理したということでございますが、課題の一つとして今ありましたが、BRT導入には専用車線を確保するため道路の拡幅ということも課題として挙がっておりました。ご承知のとおり、松本市内は城下町ということもあり狭い道路が多く、その確保には課題もあり、そして何よりも道路改良には時間と費用も要するというふうに考えますが、現在その課題を整理し、また今後導入する路線、こういったものの想定をしているのか、お伺いをいたします。 ○副議長(小林弘明) 小出建設部長。 ◎建設部長(小出光男) お答えします。 議員ご指摘のとおり、BRTを導入するには幅員が広い道路が必要になります。そのため、実現性を考慮した導入路線の想定といたしましては、今回の平日ノーマイカーデーでバス専用レーンを設置したあがたの森通りを軸に、多くの観光客が訪れる松本城周辺を経由して、学校、病院、文化施設などが集積します信州大学方面へのルート選定が望ましいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 望ましいルートが提示をされまして、あがたの森通り、駅前通りを軸に、松本城周辺を経由して信州大学方面ということでございましたが、こういったことで検討が前向きに進められているというふうに受けとめました。 あがたの森通りは片側2車線が確保されているものの、交差点部分では改良の余地があるというふうに考え、また、信州大学方面に向かう道路はいずれも拡幅の必要性があるということになるのではないでしょうか。また、松本駅から松本城までの区間、私が考えるところは、公園通り、ここを歩行者優先の道路と位置づけて、BRTのみ通行可能というふうな道路空間にしてはどうか、こういったことも考えておりますので、また今後、検討の中の一案として考えていただければ幸いでございます。 そういった中で、ルートの選定ということで、今望ましいルートの答弁がありましたが、今後、LRTも含む公共交通システムの導入に向けどのように進めていくのか、お伺いをいたします。 ○副議長(小林弘明) 小出建設部長。 ◎建設部長(小出光男) お答えします。 公共交通システムの導入に向けた今後の進め方でございますが、庁内で引き続き公共交通システムにつきまして、専門的な見地からBRTとLRTのどちらを選択することが適切か、またルート選定などの具体的な課題について積極的に検討を行い、市民の皆様や議会のご意見を伺いながらさらなる研究を深めてまいりたいと考えております。 また、公共交通システムの導入に当たりましては、まずは市民の皆様に公共交通の必要性をご理解いただき、多くの皆様にご利用いただくことが重要であると捉えております。そのため、引き続き既存の公共交通の利便性を高め、皆様が利用しやすい環境を整えてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 BRTとLRTのどちらを選択することが適切か、検討していくということでありました。先ほどもLRTとの比較、BRTの優位性を昨年同様に紹介したところでありますが、まずはBRTの導入を目指して検討を進めていただきたいというふうに思います。 また、私たち現世代においては公共交通を多くの市民の皆様に利用していただけるよう利便性を高める環境整備を進めていただき、新たな公共交通システムの導入の必要性がさらに高まるよう取り組みをお願いしておきたいと思います。 先ほど2回目の答弁の先進都市視察の中で、まちのシンボル的な乗り物ということがありました。こういったことから、ずばりお聞きをいたします。LRTまたはBRTといった公共交通システムを導入する時期はいつになるのでしょうか。また、次世代交通政策の具現化を進めることにより、松本市が目指す松本のまちの理想の姿について、改めて市のお考えをお伺いいたします。 ○副議長(小林弘明) 小出建設部長。 ◎建設部長(小出光男) お答えします。 まず、公共交通システムの導入時期はとのご質問でございますが、松本市次世代交通政策実行計画において長期的に取り組む重点施策として位置づけておりますので、現時点ではさきに申し上げた具体的な検討を行い、さまざまな課題を解決しながら導入に向けた取り組みを鋭意進めてまいります。 次に、松本市が目指すまちの姿につきましては、松本市次世代交通政策の基本方針として掲げておりますとおり、中心市街地においては自動車に過度に依存せず、環境に優しい自転車や公共交通の利用と歩行者を優先する施策を進め、多くの人々が町なかを歩くことによるにぎわいのあるまちが目指すまちの姿でございます。 なお、このたび行いました平日ノーマイカーデーの取り組みは、この目指すまちの姿へさらに一歩を踏み出すことができたと考えております。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 LRT、BRTの導入時期は、長期的に取り組む重点施策ということでまだ具体的な時期はお示しできないというふうに思いますが、長期的として決めつけずに、LRT、BRTの導入の検討をさらに加速していくことに期待をしているところであります。また、LRT、BRTの導入の検討は少しずつ進みつつあると感じたところでもありますが、市の取り組みをもっと積極的に市民の皆様にアピールしていくべきであるというふうに考えます。市民の皆様への周知啓発が、私たち市民一人一人の意識を変えていけるものと考えているところであります。 また、最近では、イベントでのシャトルバスということで、信州・松本そば祭りだとかクラフトフェアまつもとではシャトルバスが運行され、渋滞も緩和されている状況もあります。しかしながら、11月3日の松本まつりのときはかなりの渋滞で、島立方面から県道も松島橋を超えるあたりを含めて大変渋滞がひどかったわけでありまして、市街地になかなか車で入れない状況でありました。それぞれ市内で開催される大きなイベントにはこういったシャトルバスの運行を今後ふやしていただくことにあわせて、やはり公共交通の利用、こういったことも周知をしていただいて、今言った市民一人一人の意識を変えていけるものでありますので、そういった取り組みもお願いをしたいというふうに思うところであります。 平日ノーマイカーデーの実施、そしてまた来年度からシェアサイクルの導入ということで、少しずつですが次世代交通政策の具現化が見えてきております。今後も引き続き次世代交通政策の具現化に向け、多くの人々がまちを歩くことによるにぎわいのあるまちを目指し、さらなる取り組みを進められることを期待しているところで、以上で次世代交通政策についての質問を終わりといたしまして、次に教育行政に入ります。 まず初めに、インクルーシブ教育について質問をいたします。 特別支援教育の充実やインクルーシブ教育の推進について、関連する質問は昨年12月定例会にて芝山議員から質問があり、赤羽教育長はその重要性や方向性について答弁をされております。 そのようなことも踏まえる中で、平成28年4月に施行された障害者差別解消法、また松本市子どもの権利に関する条例の趣旨からも、子供の最善の利益のため、子供を大切にするために、長野県と松本市が互いに連携してインクルーシブ教育を推進していく必要があると考え、市の見解を質問してまいりますので、お願いいたします。 長野県では、平成27年2月3日、長野県特別支援教育連携協議会において中信地区特別支援学校のあり方について検討結果が取りまとめられ、長野県教育委員会に提出されました。この検討結果を受けて、保護者初め学校関係者や特別支援学校校長会などから早急な教育環境の改善、障害種ごとの教育の専門性の確保を求める意見書を踏まえ、平成27年8月に中信地区特別支援学校再編整備計画が策定をされ、現在進行中であります。 加えて、本年3月、長野県が平成30年度からの5カ年計画として第2次長野県特別支援教育推進計画を策定いたしました。その中で「すべての子どもが持てる力を最大限に発揮し、共に学び合うインクルーシブな教育」という基本方針が示されました。そして、4つの具体的な推進のポイントが示されておりますが、私は中でも特に注目する点が2つあると考えております。一つは小・中学校における特別支援教育の充実であり、もう一つは特別支援学校における教育の充実であります。この2つについては、松本市の特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室で学ぶ全ての子供たちに関係することであり、今回の推進計画のポイントとして示されたことは、今後の特別支援教育の充実に向け、長野県の推進計画の推進には大いに期待をするところであります。 以上、現在進行中の中信地区特別支援学校再編整備計画に加え、特別支援教育推進計画が示されたことで、特別支援の充実、インクルーシブ教育の推進が大きく転換されるとの期待を持つところであります。 そこで質問でありますが、このような状況の中、長野県の中信地区特別支援学校再編整備後も残る松本市における特別支援学校における課題について、教育委員会の見解をお伺いいたします。 ○副議長(小林弘明) 赤羽教育長。 ◎教育長(赤羽郁夫) お答えをいたします。 県は松本養護学校の過大化・過密化の解消に向け、既に開設されております松本盲学校内の分教室に加え、本年度から平成32年度にかけて段階的に寿台養護学校と松本ろう学校を活用した学びの場の再配置を進めております。 具体的には、寿台養護学校を病弱と知的障害を対象とした特別支援学校とし、松本市の知的障害の児童生徒については、国道19号より西側に住む児童生徒は松本養護学校に、東側に住む児童生徒は寿台養護学校にそれぞれ通学することとなります。そうしたことから、松本養護学校から寿台養護学校へ児童生徒が移動することになり、松本養護学校の過大化・過密化が一定程度解消されると認識をしております。 一方、県が改修を検討しております松本養護学校の老朽化への対応、さらに寿台養護学校、松本養護学校ともに市の南部に立地していることから、特に市北部から通学する子供にとってはバスの利便性、加えまして保護者による送迎の負担も大きいという課題は引き続き残るものと認識しております。 以上であります。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 学びの場の再配置によりまして、松本養護学校の過大化・過密化が一定程度解消されるということでありました。そしてまた課題については、今言われたとおり松本養護学校の老朽化等々含めて、市の南部に立地といった課題が引き続き残るということでありまして、以前、阿部長野県知事はこのように発言をしたということがあります。障害のある児童生徒が学ぶ特別支援学校は、居住地の近くや通学の利便性のよい市街地にあることが望ましい、こういった趣旨の発言をされています。しかし、その実現には乗り越えなくてはいけない多くの課題があることも理解をしており、特別支援学校の市街地への移転・新築はそう簡単なことではないと仄聞をするところであります。 が、しかし、通学の利便性の確保に加え、一般市民との交流、多様なサービスや支援の受けやすさなどから考え、私はやはり特別支援学校が市街地に立地していることが重要であると考えており、この点においては阿部知事の発言と共通するところがあります。 障害のある児童生徒の保護者の中には通学利便性の改善を要望する声が多く、学びの場を市街地に置くことや市内北部地域への分教室の設置を望む声も聞いているところであります。これは、保護者の送迎や子供たちの通学の負担を減らしてほしい、できるだけ地域の人たちと交流しやすい、子供たちが学びやすい環境にしてほしいという切なる願いであります。松本養護学校は老朽化が進み、修繕・改築が必要な時期を迎えていると聞いており、私も見て、そう感じているところであります。先ほど触れました阿部知事の発言や保護者の皆さんの要望が実現できる市街地への移転・新築が理想ではないかと考えるものであります。 具体的には、交通利便性、医療・教育・福祉などの関連施設の立地、商業施設の立地、一般市民との交流等の面から、私は例えば南松本駅周辺の県営住宅跡地への松本養護学校の移転・新築の可能性を検討すべきと考えるものであります。また、このことが難しいとすれば、特別支援学校の機能を分散し、障害のある子供たちの居住地の近くで専門的な教育が受けられるよう、分教室の設置について検討もすべきであるという考えを持っているところであります。 そこで質問でありますが、障害のある児童生徒が居住地の近くで学ぶことができる環境を整えることが重要であると考えますが、ただいまの私の提案もあわせて、教育委員会の見解をお伺いいたします。 ○副議長(小林弘明) 赤羽教育長。 ◎教育長(赤羽郁夫) お答えをいたします。 昨年12月定例会での芝山議員の質問でもお答えしましたように、松本市の目指すインクルーシブ教育の方向性は、障害の有無にかかわらず全ての子供たちが地域の一員としての自覚や集団に適応する力を高め、障害や特性など互いの多様性を認め合いながら全ての人と支え合って生きていく考え方を育むものであると考えております。 今、議員ご発言のように、特別支援学校は駅や医療・福祉等の関連施設、商業施設が近い、利便性の高い場所に立地すべきであるという考え方は大変重要であると考えております。その点から考え、議員ご提案の南松本駅周辺は周辺環境にも大変恵まれており、障害のある児童生徒が将来的な自立に向け、さまざまな可能性を広げる場として大変魅力的な場所であると認識をしております。しかしながら、県立特別支援学校の移転や改築、分教室の設置等につきましては県が主体的に取り組んでいくものと認識をしております。 松本市といたしましては、松本市の障害のある子供たちのよりよい生活のために、地域や保護者の声を県へ伝え、よりよい特別支援学校のあり方について県との協議を継続してまいりたいと考えております。 共生社会を目指すという観点から、障害の有無にかかわらず、居住地の近くで専門的な学びの場をつくっていくことは重要であります。学びの場の選択肢の拡大、通学の利便性、市民の皆様への啓発等の観点から、北部を含め、既存の余裕教室を利用した県立特別支援学校の分教室設置は有効な方策の一つであると考えております。今後は、児童生徒数の推移や保護者の意見、既存の学校施設の状況などを踏まえ、主体となる県とともに、分教室設置に伴う効果や課題を総合的に検討いたしまして、将来的な設置の可能性等の研究を進めてまいりたいと考えております。 以上であります。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 南松本駅周辺というのは、大変魅力的な場所であるという認識であるとの答弁をいただきまして、一致した認識を得たというふうに思っているところでありまして、ぜひ松本市の子供たちのために、県と市が一体となった前向きな協議をお願いしたいというふうに思います。今後の検討の中で今の南松本駅周辺も出していただきながら、分教室とあわせて検討を進めていただきたいというふうに思います。 さて、これまでは長野県に関することでありましたが、県立の特別支援学校だけではなく、市内小・中学校の特別支援学級や通常学級にも配慮の必要な多くの児童生徒が在籍している状況も考え、小・中学校での支援充実も松本市として取り組んでいくべきことであると考えております。 現在、肢体不自由のある児童生徒について、市内の小・中学校では電動車椅子や歩行装具の利用、昇降機の設置、特別支援教育支援員の配置などで各学校ごと、個別に対応している状況であり、また、以前に私自身も相談されてきた経過があります。 居住地の学校で学ぶというよさがある反面、多くの小・中学校には段差なども多く、肢体不自由のある児童生徒が必ずしも充実した環境の中で学ぶことができているわけではありません。インクルーシブ教育の進展に伴い、今後、肢体不自由のある児童生徒が小・中学校で学ぶケースは増加することが予想される中で、現在のような個別による対応では限界が来るのではないかと危惧をしております。現状での課題を分析し、松本市として今後の方策を検討するときでもあると考えます。 加えて、本年6月、医療的ケアを必要とする子供の対応についての質問の際にも述べましたが、医療的ケアを必要とする子供が保育園で増加傾向にあることを指摘したという経過がありますが、その点からも今後、小・中学校へと進学していくことが想定をされ、小・中学校において医療的ケアを必要とする児童生徒数の増加が目の前に迫ってきております。 本市は、これまでも配慮の必要な児童生徒たちのために先駆的な取り組みを行ってきております。外国由来等、日本語を母語としない児童生徒への日本語教育を目的に、田川小学校内に松本市子ども日本語教育センターを平成21年に開設し、以来10年にわたって日本語教育の支援を継続しており、多くの学校で多くの子供たちの充実した学校生活を支えてきております。医療的ケアの必要な子供たちへの支援についても、早急に支援体制の整備に向けて検討をすべきと考えます。 そこで質問でありますが、肢体不自由や医療的ケアを必要とする児童生徒が市内小・中学校で学べるようにするためにどのような方策を考えているのか、見解をお伺いいたします。 ○副議長(小林弘明) 赤羽教育長。 ◎教育長(赤羽郁夫) お答えをいたします。 現在、市内小・中学校には自力での移動が困難な肢体不自由児童生徒が4名、医療的ケアの必要な児童生徒が2名在籍しており、保育園や幼稚園等の状況からいたしますと今後増加することが予想されます。議員ご指摘のように、このような児童生徒が安心して小・中学校で学べる環境整備が必要であると考えておりますことから、県に対して市長会や地元県議会議員との懇談会を通して要望をしてきているところであります。 肢体不自由児童生徒につきましては、市教育委員会としてエレベーターや多目的トイレ等の施設設備の充実が必要となりますが、全ての小・中学校で対応することは財政的な負担が大きいという課題があります。そこで、市内小・中学校でユニバーサルデザイン化を重点的に進める拠点校を選定し、肢体不自由特別支援学級の開設を進めていきたいと考えております。肢体不自由特別支援学級の開設によりまして、周囲の児童生徒の肢体不自由への理解が進んだり肢体不自由のある児童生徒の集団への適応が進むなど、大きな教育的効果が期待できます。これは、既に聴覚障害特別支援学級を開設しております源池小学校や清水中学校で同様の効果が認められているものであります。 自力での移動が困難な児童生徒につきましては保護者等の送迎が必要なことから、肢体不自由特別支援学級は通学の利便性を最大限に考慮した立地が必要であります。現在、市内各校で学ぶ児童生徒の状況を踏まえ、エレベーターの追加設置など学校設備の状況等も考慮しながら、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。 一方、医療的ケアの必要な児童生徒につきましては、看護師資格を有する支援員の配置が必要となります。現在、2名の児童生徒に対して3名の看護師を配置しておりますが、医療的なケアを必要とする児童生徒の増加が予想される中、今後は看護師資格を有する支援員の確保が課題となります。こども部、また健康福祉部との連携を密にいたしまして対象児童生徒の早期把握に努めますとともに、看護師の確保を含めた医療的ケア児への有効な支援体制のあり方について検討してまいりたいと考えております。 以上であります。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 拠点校を選定して開設を進めていきたいという答弁でありました。先ほども述べましたが日本語教育センターの設置、そしてまた、今話がありましたが聴覚障害特別支援学級の設置ということで松本市は先駆的に取り組んでおりまして、今回の拠点校設置ということもまた大きな前進になるというふうに思い、また、学びの都、学都松本としても大きな取り組みであるというふうに評価されるのではないかなというふうに思います。 また、医療的ケア児の関係で、看護師資格を有する支援員の確保ということでありますが、これはことしの6月定例会での保育園関係の質問でも同様の答弁でありましたので、今答弁ありましたように関係部局で連携をして検討していっていただいて、また、松本市全体での医療的ケア児の対応ということでお願いをしたいと。それで、6月定例会での答弁にありました国の事業も採択をされ、今、事業が始まっているようなことも聞いておりますので、そういったことも含めてまた、そこへ病院局も入っていただきながら看護師の連携もできればいいのかなというふうに考えているところであります。 学都松本のところに3つのスローガンが書かれております。学び続けるまち、共に学ぶまち、次代に引き継ぐまち。まさに学都松本を標榜する、この3つのスローガンにもつながる取り組みであると思いますので、この学びについて歴史ある松本市として、子どもの権利に関する条例の趣旨にのっとった子供たちへの対応に今後の期待を込めまして、このインクルーシブ教育の質問を終わりまして、最後の質問でありますが、ひきこもり対策についての質問に入ります。 若林議員の夜間中学についての質問も、ひきこもりに対する支援の必要性を求めたものでありました。現代社会が抱えるひきこもりに関する課題に対し、問題意識を共有しており、先ほどの学び直し等の支援策についても鋭意努力をしていってほしいというふうに思います。 そこで私からは、まずその支援策の前段である若者のひきこもりの実態把握に関するところから質問をいたします。 平成28年度、内閣府による15歳から39歳までのひきこもりに関する実態調査の報告があります。ふだんは家にいるが自分の趣味に関する用事のときだけ外出するという、これは準ひきこもりという枠に入るそうでありますが36万5,000人、ふだんは家にいるが近所のコンビニエンスストアなどには出かける、自室からは出るが家からは出ない、または自室からほとんど出ない、これは狭義のひきこもりという枠に入りまして17万6,000人ということで、この以上の準ひきこもり、狭義のひきこもりを合わせた広義のひきこもりということで、推計54万1,000人という調査報告があります。この平成28年度の調査の前に、平成22年度にも調査を行っておりまして、推計69万6,000人ということでありまして、15万人は減っているということではありますが、こういった報告から、各年齢層からのスライド傾向つまり長期化、そして若年層の低い年齢からのひきこもりなどの傾向が推測されるところであります。 義務教育課程では不登校対策として、例えば中間教室や不登校支援アドバイザーなどの支援が行われ、子供の実態把握がされているところでありますが、義務教育の卒業とともに支援等が薄くなり、次第に社会とのかかわりがない大人へとなり、行く行くは生活に困窮する人、また孤立感を深める家族など、さまざまな悩みを抱える人が一定数いることが今後ますます大きな問題になると言われております。また、こうした家族は年齢が高くなるほど支援が難しくなるなどの指摘もあり、ひきこもりに関する対策、支援が喫緊の課題であることが近年大きく取り上げられてきております。 このような状況から、15歳以上のひきこもり対策や支援を考えるとき、まずはその実態把握が必要と考えます。そこで、この状況を捉えて、松本市におけるひきこもりについての実態把握や今後の施策についてどのように考えるのか、お伺いをいたします。 ○副議長(小林弘明) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 ただいま議員のご説明のとおり、直近では平成28年に内閣府において若者を対象としたアンケートによる調査が行われましたが、近年、ひきこもりの長期化、高年齢化等が深刻となっていることから、今年度、40歳から59歳までを対象とした初の実態調査を行うと聞いております。 そこで、本市の実態把握につきましては、県外では県単位で独自に調査をしているところもありますが、長野県及び本市において実態は把握できておりません。ひきこもり対策は本市においても今日的な課題と捉えており、子供から大人まで切れ目のない支援を展開するために、ひきこもり状態の現状、課題の共有、ネットワークづくりなど今後の体系的な取り組みについて、健康福祉部、こども部、教育委員会など関係部局横断による連絡調整会議を開催し、検討を始めているところでございます。 以上です。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 実態把握はなかなか難しい状況であるというふうに理解をする中で、連絡調整会議が設置されて検討が始まったというところは評価をしたいなというふうに思っておりまして、その会議に期待をするところであります。 そして、その会議で検討を進めていただいて実態把握に努めていただきたいということも要望するところでありますが、個別の断片的な情報でも見逃すことなく、保健師などが訪問してみることが重要ではないでしょうか。既に個人的に実施をしている保健師もいるというようなことも聞いているところでありますが、組織的にやる必要があるというふうに思います。厚生労働省では保健師が訪問することを推奨しているようなことも聞いているところでありますし、ひきこもりの体験者と保健師がペアになって訪問相談を行うと効果が高いと関係する方にお伺いをいたしました。保健師の訪問についても、この調整会議でどのような形がいいのか、実態把握の方法がいいのか、こういった保健師の例も入れながら検討をしていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。 そしてまた、先ほど述べましたが中学校までの義務教育課程では学校や行政のかかわりがあり、対策がとられているところではありますが、高校生以上、15歳以上の把握が困難な状況であることが改めてわかったところでもあります。義務教育課程から離れても、切れ目のない、息の長い取り組みが必要であると関係者は指摘をしております。 こういった中で、中高生や若者の居場所としてサポートするフリースペース十色という施設が本年5月、松本市原に開設をされました。長野県地域発元気づくり支援金を活用し、松本市教育委員会の協力も得ながら開設をしたこの施設であり、開設後、新聞等でも報道されました。そして、私もこの施設を訪れてみました。この施設には元養護教諭、産業カウンセラー、性的マイノリティーの当事者、そしてひきこもりを経験した人と、経歴そして年齢もさまざまなスタッフがいます。フリースペース十色のスタッフの方々とのお話のとき、このようなことを言っておりました。きめ細やかに、丁寧に、気長に、こういった3つのフレーズを持ちながら取り組みをしているということでありました。 このフリースペース十色は何か成果を出すとか目標を達成するという場所ではなく、心からリラックスしてもらうことが何よりとのことであります。この施設ができて、これまで声が出せなかった方が相談に来たり、紹介したりと広がりが出てきております。多くの大人がかかわり、一人一人のペースで、安心できる場所で自分らしく成長をしていく中で社会へつなげ、大人として社会的自立ができること、それぞれにそれぞれの時間の長短があって十人十色であります。若林議員の夜間中学に関する質問に対する答弁の中で、やり直しができ、多様な選択肢の中から自分の将来を探っていく支援の方向に取り組むとありました。このフリースペース十色も、そのような支援に値する施設であると感じます。 そこで質問でありますが、高校生以上のひきこもりの方を対象とした支援も行っているフリースペース十色の活動状況を教育委員会はどのように評価しているのか、お伺いいたします。 ○副議長(小林弘明) 矢久保教育部長。 ◎教育部長(矢久保学) お答えいたします。 議員からご紹介のありましたフリースペース十色は、ことしの5月の末に開所した民間が運営する若者の居場所や相談の拠点で、対象者が主に高校生以上であるため、市内では初めてのものでございます。市といたしましては、市内原地籍にございます教職員住宅の一室をお貸しするなどの協力をしているところでございます。 フリースペース十色の開所から11月末までの活動状況は、延べ相談件数で386件、月平均の来所者数は64人でございました。定期的に利用する若者も20人を超え、相談件数も増加傾向にあるとお聞きしております。利用者からは、こんな憩いの場所があってめっちゃうれしい、今まで人の前では静かに泣くことしかできなかったけど、声を出してわんわん泣けてよかったなどの声が聞かれました。また、スタッフは、対応に悩むこともあるが利用者の言葉に励まされ、日々、人とのかかわりのすばらしさを実感していると話しております。 学校卒業後にいわゆるひきこもり状態となることが特に心配されるのが不登校の児童生徒でございます。松本市では、昨年度不登校児童生徒が小学校で121人、中学校では258人を数え、年々増加傾向にございます。こうしたことから、市教育委員会といたしましては、さまざまな悩みを抱えた若者を支援する重要な役割を持った拠点が誕生したことを大変ありがたく感じております。フリースペース十色の今後の取り組みに大いに期待しているところであります。 以上でございます。 ○副議長(小林弘明) 阿部功祐議員。 ◆18番(阿部功祐) 〔登壇〕 このような施設といいますか拠点は大変重要であると私も考えているところでありまして、ただ、運営についてはボランティアでの運営ということでありまして、運営費については困っている状況ではないかなと推察をしております。元気づくり支援金は備品等への支援であり、3年間ということで、現在市の協力は教職員住宅に関する貸し付けでありますが、この点、大変感謝をしておりました。しかし、財政的支援の必要性も感じるところでありますので、要望しておきたいというふうに思います。 また、ひきこもりになる要因は、社会的な要因から精神疾患、発達障害など医療的なことまでさまざまなことが考えられるため、子供から大人まで一貫した切れ目のない支援体制が必要であり、相談そして支援できる体制づくりが今後一層必要であると考えますので、この点検討いただき、庁内のプロジェクトチームでもしっかりと検討を始めてほしいということも要望させていただきたいと思います。 スタッフの方の話の中では、中学生以下の子供を対象にして平成25年に先駆的にスタートした子ども支援・相談スペース「はぐルッポ」の礎があって、このフリースペース十色の施設開設に市などの協力が得られたということを言っておりました。そしてまた、十色の玄関に掲げている看板は赤羽教育長が書かれたということで、また、部屋の外、南側の庭には施設に誰もいないときに赤羽教育長が畑をつくってくれて、また、今後この畑の横に花の植栽もしてくれるという話で、楽しみにしているという子供たちの声もありました。 こういったことで、こういった施設は今後大変重要であり、また40歳以上の大人のひきこもりについても国では注目しておりますので、国で調査を行う部分も含めて、今後また大きな課題となると思いますので、この点は今後私も注視しながら研究してまいりたいと思い、私の発言の全てを終わりとさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。 ○副議長(小林弘明) 以上で阿部功祐議員の質問は終結いたします。阿部議員は自席へお戻りください。 この際、お諮りいたします。 本日の会議はこの程度にとどめ、明12日午前10時再開の上、市政一般に対する質問を続行いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○副議長(小林弘明) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。 本日の会議はこれをもって散会いたします。 大変ご苦労さまでした。                              午後4時22分散会...